保険トラブル 「貯蓄から投資へ」に水を差す

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 安全なイメージが強い生命保険商品への信頼を揺るがす問題である。顧客に対するリスクの丁寧な説明が欠かせない。

 顧客から預かった保険料を、米ドルなどで運用する貯蓄性の「外貨建て保険」を巡って、トラブルが急増している。

 苦情が多いのは、リスクに関する説明が足りない点だ。円高になれば受け取れる保険金が減る可能性がある。中途解約すると元本割れの恐れもある。高利回りばかりを強調し、マイナス面を十分伝えていなかったのではないか。

 金融庁は銀行や生保会社への監督強化に乗り出した。当然の対応だ。問題があれば、行政処分を含め厳しく対処してもらいたい。

 家計の金融資産は1800兆円を超えるが、過半を現預金が占める。滞留する資金を投資などに振り向け、経済の活性化につなげることが課題となっている。

 金融機関が目先の手数料収入欲しさに、金融商品の不適切な販売を続ければ、「貯蓄から投資へ」の流れに水を差しかねない。

 投資は自己責任が原則だ。消費者も金融商品には損失リスクがあることを認識する必要がある。ただ、顧客がリスクをきちんと把握できることが条件になる。説明不足では前提が崩れよう。

 生命保険は商品内容が複雑なため、分かりにくい。外貨建てとなれば、なおさらである。

 高齢者がトラブルに巻き込まれるケースが目立つ。家族の立ち会いなしに、90歳近い人に多額の外貨建て保険の契約をさせるといった例があるという。

 顧客本位の営業姿勢からは程遠いと言える。全国銀行協会は販売手法の見直しを表明した。業界を挙げた対応が求められる。

 保険の利回りが実際よりも高いと誤解させるような表記が、商品の募集資料に記載されている問題も見過ごせない。実質的な利回りを周知するのが当然であろう。

 生命保険協会は4月から、実質利回りを資料に明記するよう生保各社に求めることにした。

 まずは、契約時に保険料を一括で支払う「一時払い型」と呼ばれる、主力の外貨建て商品を対象とする。商品性を正確に説明し、信頼回復に努めねばならない。

 金融機関が販売する投資信託を巡っても、顧客に頻繁に商品を買い替えさせる「回転売買」がなくならない。何度も手数料を支払わされ、運用成績がマイナスになった顧客も多いとみられる。

 金融界は責任を自覚し、営業の適正化に全力を挙げるべきだ。

480211 0 社説 2019/03/10 05:00:00 2019/03/10 05:00:00

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