性犯罪の再犯 出所後の取り組みも重要だ

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 刑務所内での指導の実効性を絶えず検証する。加えて、出所後も切れ目なく指導を施すことが、再犯防止には重要だ。

 小学生の女児に対する強制わいせつ致傷罪などに問われた男が先月、長崎地裁で懲役7年の実刑判決を受けた。

 女子中学生2人を殺害して服役した後、強制わいせつ事件を起こして再び服役し、再犯防止プログラムを受けていた。今回の事件を起こしたのは、刑期満了で出所してから、約4か月後だった。

 岡山県津山市の小学生女児殺害事件で逮捕された男は、別の女児らへの傷害、暴行事件で服役中に受講した。出所後に女子中学生への殺人未遂事件を起こし、判決はプログラムについて「効果は上がらなかった」と指摘している。

 国内の治安を守る上で、大切なのが再犯の防止だ。被害者の尊厳を著しく侵害する性犯罪で刑務所に再入所する割合は、殺人や強盗といった犯罪よりも高い。

 再犯防止プログラムを受講しながら、出所後に再犯に及ぶ元受刑者が相次いでいるのは、ゆゆしき事態である。指導内容を改めて検討する必要があるだろう。

 プログラムは、奈良市の女児誘拐殺害事件をきっかけに、2006年に導入された。8人程度のグループで4~9か月間受講する。認知行動療法に基づき、性犯罪につながる自らの性格を分析して、再犯を回避する方法を学ぶ。

 仮出所後は保護観察所でも実施される。これまでに延べ約1万5000人が受けている。

 法務省によると、刑務所で受講した受刑者の再犯率は12・8%、受講していない場合は15・4%で、2・6ポイントの差しかない。効果が実証されたとは言えまい。

 一方で、刑務所と保護観察所の双方で受講した場合の再犯率は、未受講の満期出所者の5分の1にとどまる。出所後の対策が欠かせないことを物語っている。

 刑期を終えた満期出所者に対して、国は強制的な指導をできない。満期出所者の再犯防止に力を注ぐべきなのは明らかだが、課題として積み残されてきた。法務省は、対応を急がねばならない。

 子供への暴力的性犯罪の受刑者について、警察庁は法務省から出所情報の提供を受け、警察官が自宅を定期訪問している。大阪府や福岡県は条例で住所の届け出を義務付けた。治療やカウンセリングを実施する民間機関もある。

 再犯防止プログラムだけでは不十分だ。様々な手立てを組み合わせることが肝要である。

483158 0 社説 2019/03/12 05:00:00 2019/03/12 05:00:00

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