政府統計調査 時代に即した柔軟な見直しを

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 今回の不祥事を反省しつつ、統計業務のあり方を社会の変化に合わせて見直す必要がある。政府は、その仕組みを検討しなければならない。

 厚生労働省による賃金構造基本統計の不適切な処理について、総務省が調査報告書を公表した。

 初動で失態を重ねた厚労省の代わりに、行政監察を業務とする総務省に検証を委ねた。客観性を確保する異例の手法である。

 賃金統計は、約8万事業所を対象に、性別や勤続年数など労働者の属性ごとの給与額を把握する。最低賃金の改定や正規・非正規の格差是正を図るうえで、土台となる重要な指標だ。

 表向きは訪問調査としながら、十数年以上前から郵送に切り替えた。統計法に基づく総務相の承認を得ていなかった。報告書は、調査員が約260人しかおらず、計画に無理があったと指摘する。

 歴代担当者は計画に反することを認識しながら、長年放置してきた。報告書が「順法意識の欠如」と「事なかれ主義の蔓延まんえん」を厳しく批判したのは当然である。

 硬直的な組織の弊害は、毎月勤労統計でも浮き彫りになった。

 全数調査が企業に負担をかける現状を踏まえ、調査手法を変えていた。正当な手続きを経なかったため、正確性を損ない、雇用保険などの過少給付を招いた。

 調査にゆがみが生じない範囲で、インターネットの普及など社会の変化や行政の効率性を勘案し、柔軟に手法を改めることも必要ではないか。その前提が適正な手続きと、透明性の確保である。

 厚労省の問題を教訓に、調査手法を機動的に変更できるよう、政府として仕組みを整備することが重要だ。統計業務に関する知見を各省庁が高め、チェック機能を強化することも欠かせない。

 有識者による総務省の統計委員会を中心に、運用に関する統一的な方針を検討してはどうか。

 再発防止にあたっては、厚労省の組織のあり方も論点となる。

 総務省が1月に実施した基幹統計の一斉点検で、厚労省は郵送調査の問題を公表しなかった。

 報告書は、担当室長が、業務への支障を恐れて回答しなかったと指摘している。

 政府が実態解明を進めているさなかに、意図的に問題を伏せたのは、批判を免れない。

 報告書は、統計の担当室が「閉じた世界」で業務を行い、機能を発揮できていないと指摘する。ガバナンス(組織統治)を向上させる方策を練るべきだ。

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483159 0 社説 2019/03/12 05:00:00 2019/03/12 05:00:00

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