米予算教書 財政赤字の膨張に警戒怠るな

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 米国の財政悪化は、世界経済や市場の安定を脅かす懸念材料だ。与野党の対立で難航が予想される予算協議の行方を、注視せねばならない。

 トランプ米政権が、2020会計年度の予算教書を議会に提出した。財政赤字は約1・1兆ドル(122兆円)に上り、19年度から4年連続で1兆ドルの大台に乗ると見込んだ。今後10年間で累計7・3兆ドル程度になるという。

 財政への懸念が強まると、米国債の金利は上昇しやすくなる。金利負担増は、企業業績の悪化や住宅・自動車市場の低迷を招き、景気を下押しする恐れがある。

 米国債は、日本や中国をはじめ各国の政府や金融機関も大量に保有している。米国の財政悪化の波紋が、世界全体に及ぶリスクに十分な警戒が必要となる。

 1980年代のレーガン政権時代には、財政と貿易の「双子の赤字」が、世界経済にとって成長の重しとなった。米国の貿易赤字は昨年、過去最大に達した。

 トランプ政権が、同じてつを踏まないか。不安は拭えない。

 米国の予算は、教書をたたき台にして、議会が編成する。

 問題は、2020年の大統領選を見据え、与野党から歳出圧力が高まることだ。予算規模は、教書よりも膨張する懸念がある。

 野党・民主党内からは「国民皆保険制度」の創設など、予算の大幅な積み増しにつながる政策が既に提唱されている。政権や与党を牽制けんせいし、財政悪化に歯止めをかける役割は期待できそうにない。

 政権と民主党が、対決姿勢を鮮明にしているのも心配だ。

 教書は、政府閉鎖の原因となったメキシコとの国境の壁の建設費を約86億ドル盛り込んだ。与野党で合意した19年度の14億ドルを大きく上回る。民主党の反発で予算編成作業が滞ることもありえよう。

 米政府の借入限度額を定めた「債務上限」問題も、与野党間の争いの火種となりそうだ。

 債務上限が今月から復活し、政府は自由に国債を発行できない。9月までは資金を調達できる見通しだ。それまでに上限引き上げで合意しないと、国債の償還や利払いが滞り、債務不履行(デフォルト)に陥る可能性がある。

 11年には、当時のオバマ政権と野党・共和党が上限問題で対立した。米国債の格付けが下がり、世界中で市場が大混乱に陥った。

 財政が市場の信認を失う事態を再び招いてはなるまい。現政権と与野党は対立の先鋭化を避け、建設的な議論を重ねるべきだ。

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488170 0 社説 2019/03/14 05:00:00 2019/03/14 05:00:00

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