北朝鮮の非核化 米朝は協議再開の環境整えよ

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 首脳会談で露呈した溝をどう埋めていくのか。北朝鮮の非核化が暗礁に乗り上げないよう、米朝両国は協議再開の環境を整えねばならない。

 トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の会談が物別れに終わった後、情勢は不透明感を増している。

 北朝鮮の崔善姫外務次官は記者会見で、米国の非核化要求を受け入れない考えを示した。核実験や弾道ミサイル発射の中止を継続するかについて、金委員長が近く表明する見通しだとも語った。

 北朝鮮北西部の東倉里では、ミサイル実験場が再建され、通常の稼働状態に戻ったことが判明している。核実験の中止や実験場の廃棄は、金委員長自ら約束したものだ。緊張を再び高め、米国に譲歩を迫る動きは看過できない。

 廃棄に踏み切った施設を容易に復旧できるのであれば、北朝鮮の自主的な非核化措置の信頼性は、無きに等しい。国際的な査察・監視体制が欠かせない。

 国連の専門家パネルによる年次報告書は、北朝鮮が米国との非核化交渉を進める一方で、核・ミサイル計画をそのまま続けていると指摘した。制裁逃れの密輸やサイバー攻撃を通じて不正な利益を得ている実態も明らかになった。

 北朝鮮がこうした行動を改め、段階的な非核化の見返りに制裁解除を求める戦術を転換しない限り、交渉の進展は見込めまい。

 米国は、北朝鮮が完全な非核化に踏み出すまで制裁を緩めない方針を維持しつつ、外交的な働きかけを続ける必要がある。

 中国や韓国は、米朝協議再開の仲介を試みるのなら、金委員長の非核化の確約が行動を伴っていない現実を直視すべきだ。北朝鮮の主張をただ代弁するのではなく、具体的な措置に取り組むよう説得しなければならない。

 懸念材料は、米韓両国が毎年春の大規模な合同軍事演習の終了を決めたことだ。規模を大幅に縮小した演習に切り替えるという。

 数万~数十万人規模で行ってきた野外機動訓練や机上演習は、北朝鮮の通常兵力への対処を想定している。小規模な演習では、米韓両軍の即応態勢の維持が困難になるだろう。抑止力低下を防ぐ新たな手立てが求められる。

 トランプ氏は演習終了について北朝鮮との緊張を和らげる効果に加え、米国の費用も節約できると強調した。安全保障政策の是非を費用の観点だけで判断するのは、不適切だ。日本など同盟国の不安にも配慮すべきではないか。

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493375 0 社説 2019/03/17 05:00:00 2019/03/17 05:00:00

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