景気判断下げ 経済変調のリスクを見逃すな

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 景気後退のリスクはないのか。慎重な見極めが必要な局面である。

 政府は3月の月例経済報告で、景気判断を3年ぶりに引き下げた。

 景気全体の状況を示す表現を、「緩やかに回復している」から、「このところ輸出や生産の一部に弱さもみられるが、緩やかに回復している」に改めた。

 主要な貿易相手国である中国の経済減速が主因だろう。電子部品などの輸出が振るわず、企業の生産にブレーキが掛かっている。

 輸出低迷が長引けば、企業の設備投資を冷やしかねない。政府は景気拡大期が1月で戦後最長になった可能性が高いとしているが、疑問視する声が強まっている。政府・日本銀行は予断を排し、経済状況を冷静に分析するべきだ。

 米中貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱問題など、海外情勢の不確実性も重しとなる。

 日銀の黒田東彦総裁は今年後半に中国や欧州経済が持ち直すとの認識を示している。しかし、米国経済は政治の混乱で、先行きは楽観できない。世界景気の変調に細心の注意を払う必要がある。

 カギは内需の活性化にある。

 日本の国内総生産(GDP)の過半を占める個人消費は力強さを欠く。人手不足が深刻な物流や小売りなどで大幅な賃上げが見られるものの、製造業を中心に賃上げの動きが鈍いのは不安材料だ。

 余裕がある企業は着実に賃上げをする。将来を見据えた投資も続け、生産性を高める。政府は規制緩和や予算の重点配分で新産業の創出を後押しする。官民が連携して経済の底上げを図りたい。

 10月には消費増税が控える。政府は、家計の負担を和らげる軽減税率やポイント還元制度の導入などを予定している。制度を円滑に実施し、個人消費への悪影響を最小限に抑える必要がある。

 問題は、政府・日銀とも政策余地が小さくなっている点だ。とりわけ日銀の手詰まり感は強い。

 景気の悪化が鮮明になれば、日銀は追加金融緩和の検討が避けられない。今のうちに周到な準備を進めておくことが重要になる。

 長期国債や上場投資信託(ETF)の買い入れ増額といった手段が想定されるが、現行の緩和策の延長線では効果は限られよう。あらゆる選択肢を検討すべきだ。

 マイナス金利政策などによって地方経済を支える地域金融機関の収益低下が目立つ。追加緩和は事態を悪くする恐れもある。日銀は弊害にも十分配慮し、対策に知恵を絞ってもらいたい。

500374 0 社説 2019/03/21 05:00:00 2019/03/21 05:00:00

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