アイヌ新法案 歴史と文化への理解深めたい

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 アイヌの人々がたどった歴史と、豊かな文化への理解を深め、将来に引き継ぐことが大切だ。

 政府は、アイヌ民族に関する新たな法案の今国会での成立を目指している。「先住民族」と初めて明記し、文化の継承を国と自治体の責務と位置付けた。内閣にアイヌ政策推進本部を設置し、態勢も強化する。

 アイヌの誇りを尊重し、支援する上で大きな意義を持とう。

 アイヌの人々は、北海道を中心に、13~14世紀に独自の文化を形成した。狩猟や漁労などを生業とし、日本語とは全く異なるアイヌ語を話してきた。

 明治以降、アイヌ語の使用の制限といった同化政策を強いられたが、今も自らをアイヌと認識する人は少なくない。

 法案は、市町村が立案するアイヌ振興策に、国が交付金を支給する制度の創設を盛り込んだ。事業は、交流センターの整備や観光イベントの開催などを想定する。

 儀式や漁法の伝承のため、国有林野での樹木採取や、河川でのサケの捕獲に配慮する。工芸品の商標登録もしやすくする。実効性のある取り組みが求められる。

 1997年に制定された現行のアイヌ文化振興法は、アイヌ語や文化の振興、伝統の普及啓発を主眼としている。

 アイヌ施策の拡充に乗り出す契機となったのは、2007年に採択された「先住民族の権利に関する国連宣言」だ。翌年、衆参両院はアイヌ民族を先住民族とすることを求める決議を採択し、政府も先住民族との見解を表明した。

 その後、博物館の整備を検討するとともに、新法制定に向けてヒアリングなどを重ねてきた。

 法案は、国連宣言にうたわれている、土地に対する権利などの「先住権」は定めていない。

 入植者に多数が虐殺された海外の先住民族と同列には並べられまい。アイヌと移住者との共生の取り組みは進んでいる。「誰がアイヌか」を確定するのは容易ではないとの指摘もある。

 市町村が主体となって地域単位で支援策を強化し、あわせて人々の生活環境の改善を図る。施策の方向性は現実的と言えよう。

 北海道白老町に建設中の国立アイヌ民族博物館は、来年4月にオープンする。周辺の施設と合わせて、アイヌの歴史や信仰、言語、暮らしを学び、古式舞踊などを体験することもできる。

 アイヌの伝統に触れることは、日本が長年育んできた多様な文化を考える機会となろう。

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505409 0 社説 2019/03/25 05:00:00 2019/03/25 05:00:00

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