露疑惑報告書 米政治の混乱は収拾できるか

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 トランプ米政権の発足以来、ロシア疑惑は政治混迷の大きな原因となってきた。特別検察官による捜査の終結を機に、政権と議会が混乱収拾へ動けるかどうかが問われよう。

 モラー特別検察官が約1年10か月にわたる捜査を終え、バー司法長官に報告書を提出した。バー氏はその結論の概要を議会宛ての書簡にまとめ、公表した。

 特別検察官は、2016年大統領選で起きた民主党関係者に対するロシアのサイバー攻撃について、トランプ陣営とロシアの共謀や連携は見つからなかった、との結論に至ったという。

 トランプ大統領が捜査の中止を要請し、拒否したコミー連邦捜査局(FBI)長官を更迭したことが司法妨害にあたるかどうかに関しては、判断が見送られた。

 報告書は「大統領が罪を犯したと結論づけないが、潔白も証明されていない」と指摘したという。積み上げた証拠の解釈が、微妙で困難だったことがうかがえる。

 バー氏は、最終判断が自らに委ねられたとして、「捜査で得られた証拠は、司法妨害の立証には不十分だ」との結論を下した。大統領の行動の多くが公の場で行われ、不正の意図があったわけではないことを理由に挙げている。

 これで幕引きとはなるまい。トランプ氏に配慮した政治的判断と受け取られるのではないか。

 民主党は下院で過半数を握る。疑惑追及を続け、政権や議会の機能が麻痺まひする事態が懸念される。疑念を払拭ふっしょくするには、バー氏が報告書をできるだけ全容に近い形で迅速に公表することが必要だ。

 トランプ氏は「完全な潔白が証明された」と強調した。疑惑や捜査による足かせがなくなり、自由に振る舞える余地が広がったと、自信を深めているのだろう。

 一連の捜査や民主党の追及を「魔女狩り」と決め付け、来年の大統領選の再選戦略に利用するのは間違いない。

 問題は、トランプ氏の不安定な政権運営が改善される見通しが立っていないことだ。

 米国の分断は根深い。何があっても共和党支持者は政権を支え、民主党支持者は反対する構図が固まっている。トランプ氏が支持基盤を更に強固にするため、大統領令や非常事態宣言を乱発し、混乱を助長させる恐れがある。

 貿易問題で理不尽な要求を強める可能性も小さくない。ロシアや北朝鮮との関係改善に向けて、トランプ氏が制裁を無節操に緩和する事態にも警戒が求められる。

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506954 0 社説 2019/03/26 05:00:00 2019/03/26 05:00:00

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