働き方改革 長時間残業の慣行を断ちたい

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 労働力人口が減少する中、長時間労働の慣行を改め、多様な人材が活躍できる環境を整えることが急務である。

 働き方改革関連法が4月1日から順次施行される。第1弾のポイントは、実質的に青天井だった残業時間に罰則付きの上限規制が設けられた点だ。大企業から適用を開始する。

 長時間労働の常態化は、育児や介護と仕事の両立を困難にし、過労死の悲劇も招いてきた。その見直しは、女性や高齢者の就労を促し、社会・経済の活力維持につながろう。働き手の多様化は企業の創造性を高める上でも重要だ。

 残業の上限は、いわゆる「過労死ライン」に準拠する。臨時的な業務量の増大に配慮したもので、上限いっぱいの残業を肯定する趣旨ではない。企業は、可能な限り残業削減に努めるべきだ。

 同時に、無駄な業務の排除やIT(情報技術)活用などで生産性を高め、長時間労働に依存した経営から脱却する。それが成長力を底上げするはずだ。残業削減を人件費抑制に利用せず、従業員の賃金を維持する工夫も望まれる。

 2020年度から、中小企業にも新たな残業規制が適用される。人手不足に悩む企業にとって、達成は容易ではあるまい。円滑な実施に向け、政府は中小企業への支援を拡充する必要がある。

 無理な納期を押しつけられるといった取引先との関係も、残業を増やす要因だ。取引条件や商慣行の適正化が欠かせない。指導監督体制の強化が求められる。

 関連法では、年5日の有給休暇を企業の責任で取得させることが義務付けられた。終業と始業の間に一定時間を確保する「インターバル制度」導入は努力義務に定められた。従業員の健康維持や意欲向上に有効だろう。

 高所得の一部専門職を労働時間規制の対象外とする「高度プロフェッショナル(脱時間給)制度」もスタートする。

 企画・開発など働く時間と成果が一致しない仕事が増えた。職種を限り、労働時間と賃金を切り離すことには合理性がある。

 長時間労働を強要されるとの懸念も根強いが、適用は本人の同意が要件だ。企業には対象者の健康確保措置が義務付けられた。適切に運用されることが大切だ。

 働き方改革の柱の一つである同一労働同一賃金は、20年度から段階的に実施される。労使で十分に協議を重ね、正社員と非正規労働者の間でバランスの取れた処遇体系を構築しなければならない。

514146 0 社説 2019/03/30 05:00:00 2019/03/30 05:00:00

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