元号は令和 新時代を実感できるように

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◆システム改修に万全の準備を◆

 新たな時代を象徴する言葉として、多くの国民の間で、親しまれていくことを願いたい。

 政府は、平成に代わる新たな元号を「令和」とすると決めた。皇太子さまが即位される5月1日から使われる。

 令和は、日本最古の歌集である「万葉集」の「初春の令月にして、気く風やわらぎ」から引用した。国民の理想としてふさわしく、読みやすく書きやすいなどの条件を踏まえたという。

 ◆初めて日本の古典から

 安倍首相は「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つという意味が込められている」と説明した。なじむまで時間はかかるかもしれないが、おおらかな情緒を感じさせる2字ではないか。

 「大化」以来、248を数える元号の中で、日本の古典からの引用は初めてとなる。

 万葉集は1200年余り前に編纂へんさんされ、天皇から農民まで幅広い層の人々の歌を収める。選んだ理由として、首相は「豊かな国民文化と長い伝統を象徴する国書」であるという点を挙げた。

 長年育まれてきた日本の文化や美しい自然を、次の世代に引き継いでいくという願いを込めたことは理解できる。

 元号は戦前、皇位継承の儀式を法文化した登極令に基づき、新天皇が最終的に定めていた。戦後の憲法では、天皇は国政に関する権能を有しないこととなり、1979年制定の元号法で「元号は、政令で定める」と規定された。

 令和は、平成に次いで、国民主権のもとでの二つ目の元号となる。新天皇が即位する前に元号を定める初のケースだ。

 政府が公布前に、新元号を皇太子さまに報告したのは、天皇と元号の伝統的な関係の深さにかんがみた対応と言えよう。

 一方、閣議決定後に報告することで、皇太子さまが元号の選定に関与されないよう、注意を払ったのは妥当である。

 政府は、平成の改元時の段取りを基本的に踏襲しつつ、当日に意見を聴取する有識者懇談会のメンバーについて、女性を増やした。ノーベル賞受賞者の山中伸弥・京大教授も起用した。

 幅広い層の意見を参考に、丁寧な手続きを心掛けたのだろう。

 ◆人心一新図った歴史

 漢字文化圏に見られる元号は紀元前2世紀に中国の前漢で生まれたとされ、日本や朝鮮半島、ベトナムなどに広がった。日本だけが元号を残し、西暦と併用する。

 元号は、日本人に共通の時代意識を生み出してきた。明治以降、天皇一代に一つの元号となり、代替わりと合わせて、人心の一新が図られた歴史がある。

 新天皇の即位と新元号の施行は、国民の心の持ちように一定の影響を及ぼすに違いない。

 グローバル化が進み、西暦の利用が増大しているとはいえ、日本の伝統である元号を様々な場面で活用する方途を探りたい。

 政府は、平成改元に関する1989年当時の公文書を3月末に公開する予定だったが、5年間先送りすることを決めた。今回の改元への影響を避ける狙いがある。

 元号選定に関する資料は、国民が元号の歴史や意義を考える上で貴重な手がかりとなる。

 今回の選定過程について、政府は元号の原案や考案者、有識者懇談会などの議事内容を公文書として残す方向だ。将来的に公開し、後世の人々が検証できるようにしてもらいたい。

 改元は1か月後に迫っている。平成改元と比べて時間的な余裕はあるものの、情報システムは複雑化、多様化している。

 準備を怠れば、経済や国民生活に支障が出かねない。官民とも、コンピューターシステムの改修には万全を期す必要がある。

 懸念されるのは、改元を口実とした詐欺だ。銀行のキャッシュカードの変更が必要だとする虚偽の手紙が届くといった事例が起きている。十分に警戒したい。

 ◆一連の儀式つつがなく

 特許庁は、新旧の元号を商標登録できないように審査基準を改訂した。特定業者に独占的に使われるのを防ぐ狙いはうなずける。

 4月30日の退位と、5月1日の即位の儀式の細目が決まった。退位の儀式終了後、皇位の証しである剣璽けんじ(剣と曲玉)をいったん元の保管場所に戻し、翌日改めて即位の儀式に持ち込む。

 天皇陛下が自らの意思で、皇太子さまに皇位を譲ったと受け取られないようにするのは適切だ。

 代替わりに伴う儀式は来年まで続く。つつがなく執り行われるよう準備を尽くすべきである。

518089 0 社説 2019/04/02 05:00:00 2019/04/02 05:00:00

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