介護死亡事故 実態分析し再発防止に生かせ

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 介護施設での死亡事故が多発している。最期まで安心して暮らせるよう再発防止に向けた安全対策が急がれる。

 厚生労働省が、全国の特別養護老人ホームと介護老人保健施設で起きた死亡事故の件数を初めて集計し、公表した。2017年度の1年間で、転倒や誤嚥ごえんなどにより死亡した入所者は、少なくとも1547人に上る。

 介護施設での事故は、施設から市区町村に報告するよう法令で義務づけられているが、市区町村から国への報告義務はない。厚労省はこれまで、死亡事故の実態を把握していなかった。

 遅きに失したとはいえ、全国規模での調査が行われたのは一歩前進と言える。だが、今回の調査対象には近年急増している有料老人ホームなどは含まれていない。

 調査対象を拡大し、死亡事故の全体像をつかむべきだ。その上で事故原因を分析し、防止策を取りまとめる必要がある。その結果は広く公表し、各施設が情報を共有できるようにしたい。

 事故の背景にあるのは、介護現場での深刻な人手不足だ。

 過密勤務で職員の負担は重く、人の入れ替わりが激しい。認知症などで専門的なケアが必要な入所者が増える一方、知識や経験の乏しい職員に頼らざるを得ない施設もある。人材の確保策に加え、介護技術の研修を充実させたい。

 高齢者を預かる施設では、小さなミスが取り返しのつかない結果を招く。食事や投薬の際の注意事項の引き継ぎなど、基本の徹底が欠かせない。事故につながるミスを繰り返さぬよう、現場で安全管理体制を整えるべきだ。

 死亡事故を巡り、施設が賠償を請求されたり、職員が刑事罰に問われたりする事案もある。

 長野県の特養で85歳の入所者がドーナツを食べ、その後死亡した事故では、食事介助を担当していた准看護師が業務上過失致死罪で起訴された。長野地裁松本支部が先月、罰金20万円の有罪判決を出し、被告側は即日控訴した。

 虐待など故意に相手を傷つける行為や重大な過失がある場合に刑事罰に問われるのは当然だ。ただし、個人への責任追及が行き過ぎると、現場がしゅくし、介護職が敬遠されることにならないか。

 事故を巡る施設の対応に家族が不信感を募らせ、訴訟などに発展するケースも少なくない。施設は日頃から家族との信頼関係の構築に努め、事故が起きた際には、経緯について説明を尽くすことが何より求められる。

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521309 0 社説 2019/04/04 05:00:00 2019/04/05 10:52:11

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