NATO70年 米欧の結束を固め直す時だ

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 ロシアの軍事的脅威に加え、テロやサイバー攻撃、中国の軍拡など課題は山積している。米欧は同盟を巡るきしみを修復し、安全保障環境の悪化に対処しなければならない。

 北大西洋条約機構(NATO)が創設70年に合わせた外相理事会をワシントンで開き、同盟の重要性を確認する声明を発表した。

 当初計画されていた首脳レベルの会議は見送られた。トランプ米大統領のNATO批判を巡り、米欧の亀裂が広がっているためだ。憂慮すべき事態である。

 ストルテンベルグNATO事務総長は、「米欧の協調関係を守らねばならない」と訴えた。相互不信への危機感がうかがえる。

 トランプ氏は欧州のNATO加盟国が応分の国防費を支出せず、「米国に負担が集中している」と非難する。米国が共同防衛の責任を果たすかについては、明言を避ける。NATO離脱の可能性に言及した、との報道すらあった。

 欧州側では、もはや米国には頼れないとして、独自の防衛体制を築くべきだという意見が出ている。仏独両国の首脳は「欧州軍」構想に前向きの考えだ。

 現実には、米軍の情報・監視・偵察能力の支援なしに単独で作戦を遂行するのは困難だろう。ロシアの脅威に直面する東欧諸国に、仏独が安全を保証できるのか。米国を排除する欧州軍構想は、非現実的だと言わざるを得ない。

 大切なのは、時代の変化に合わせて、NATOの機能を見直し、高めていくことである。

 1949年に発足したNATOは、米ソ冷戦時代、共産主義に対する防波堤の役割を果たし、米欧の平和と安定の礎となった。

 冷戦終結後は、ユーゴスラビアなどの地域紛争に介入し、アフガニスタンでの対テロ作戦では、アフガン軍の訓練や支援を行っている。加盟国は、発足当初の12か国から29か国まで増えた。

 目前の脅威は、ロシアだ。クリミア併合など「力による現状変更」を進め、中距離核戦力(INF)全廃条約に違反するミサイル戦力を拡充している。米欧の摩擦は、ロシアを利するだけだ。

 欧州は、冷戦終結時と異なる安保情勢を国民に説明し、国防費を適切に増やすことが求められる。対中警戒感を巡る米国との温度差を埋める努力も欠かせない。

 トランプ政権は友好国との結束の重みを認識すべきだ。ポンペオ国務長官が先進7か国(G7)外相会合を欠席するような軽挙を繰り返してはならない。

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525522 0 社説 2019/04/07 05:00:00 2019/04/07 05:00:00

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