ひきこもり支援 高年齢化への対応が急務だ

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 ひきこもりの高年齢化と長期化の実態が裏付けられた。若年層中心の従来の対策ではカバーできない。中高年層を含めた支援の強化が急務だ。

 中高年のひきこもりが推計61万人に上ることが、内閣府の調査で明らかになった。過去2回の調査は30歳代までの若年層に限っていたが、今回初めて40~64歳を対象に実施した。

 ほとんど外出せず、家族以外との交流がない。ひきこもりはこれまで、不登校などの延長と見なされ、主に青少年の問題とされてきた。2015年の前回調査で、長期化傾向が顕著になり、中高年層の実態把握が求められていた。

 今回調査では、ひきこもり期間が「7年以上」の人が5割を占め、「20年以上」も2割近かった。看過できない状況である。該当者の4分の3以上が男性だ。

 深刻なのは、父母に生計を頼る人が3割超に上る点だ。高齢の親の病気や死亡により、生活が破綻する人が出かねない。

 ひきこもりになった年齢は20~60歳代まで幅広く、大きな偏りはない。バブル崩壊後の就職氷河期に社会に出て、安定した職に就けなかった層が中心とみられたが、問題は全世代に及んでいる。

 きっかけは「退職」や「人間関係」が多い。パワハラや長時間労働による心身の不調、介護離職など、要因は様々だろう。

 中高年は就職が難しくなる上、概して心身の病気など複合的な問題を抱える。ひきこもりが長期に及び、対人関係に不安を持つ人も目立つ。通常就労を最終目標とする若者向け支援とは異なる多面的なアプローチが求められる。

 ボランティアや自治会行事の手伝い、福祉施設での就労体験など多様な形で社会と関わる機会を提供することが重要だ。ひきこもりの人の支援を、地域活性化に生かしている自治体もある。

 インターネットでの手作り品販売など、家にいながら収入を得る道が増えた。それぞれに適した社会参加と自立の在り方を工夫し、後押しすることが大切だ。

 厚生労働省は、「ひきこもり地域支援センター」の設置を都道府県などに促している。ただ、当事者が出向くのは難しい。

 家庭を訪問して本人や家族の相談に乗る。当事者が気軽に集える居場所を作る。こうした取り組みを、センターが中心となってさらに進める必要がある。

 医療・福祉機関やNPOなどの民間組織との連携を強化し、適切な支援につなげねばならない。

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531426 0 社説 2019/04/11 05:00:00 2019/04/11 05:00:00

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