エネルギー提言 火力依存のままでは危うい

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 安定的な電力システムと地球温暖化の抑止をどう両立させるか。エネルギー政策の立て直しへ論議を加速させたい。

 経団連が日本のエネルギーに関する提言をまとめた。電力供給網が危機にあると指摘し、原子力発電所の再稼働促進や新増設を求めた。

 東日本大震災から8年たった今でも、日本では石炭や天然ガスなどによる火力発電への依存度が8割を超えたままだ。

 温室効果ガスの排出が多い火力発電には、国際的な批判が強い。石炭火力発電所に対しては、投融資の見合わせや建設取りやめの動きが広がっている。

 石炭に代わる環境負荷の小さいエネルギー源が必要だ。対応は急を要するが、論議は進んでいない。経団連の危機感は理解できる。

 まずは、原子力の継続活用を明確化したい。原発は発電効率に優れ二酸化炭素を出さない。安定供給と環境対策の両立に有効だ。

 政府は2030年に30基程度の稼働を目指すが、現状は9基にとどまる。後押しするべき政府の動きは鈍い。現状のままでは、原子力に関する技術や人材が先細りする悪循環から抜けられない。

 安全性を確認した上で再稼働を進める必要性を、政府は国民に丁寧に説明しなければならない。

 経団連が訴える原発の新増設や建て替えも重要な検討テーマだ。政府は昨年のエネルギー基本計画で、新増設への言及を避けた。基幹電源と位置づけている以上、新増設の方針を明記すべきだ。

 再生可能エネルギーもできる限り伸ばしたい。しかし、天候などによって出力が不安定な上にコストが高い。太陽光発電などに適した地域と電力需要の大きい大都市を結ぶ送電線網も足りない。

 再生エネの普及加速には巨額の投資が必要だ。経団連は、電力関連の投資停滞が深刻だと強調した。電力会社は、原発の安全対策や電力自由化への対応に追われ、投資余力が小さくなっている。

 企業が安心して投資できるようにするには、国がエネルギー政策の将来像を明示し、不透明感を取り除くことが大切だ。

 民間の自助努力も望まれる。再生エネの効率的な活用には、安価な大容量蓄電池の開発が欠かせない。原発では、安全性が高いとされる小型モジュール炉の実用化などが課題となる。

 資源を持たない日本は、石油危機後、省エネ技術を世界最高水準に磨いた。新時代の技術革新でも世界をリードしたい。

531427 0 社説 2019/04/11 05:00:00 2019/04/11 05:00:00

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