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これだけ問題発言が重なれば、閣僚としての資質を欠いていたと言うほかない。桜田義孝五輪相の辞任は当然である。
きっかけは、岩手県出身の自民党衆院議員のパーティーで、東日本大震災の復興以上に同党議員が大事だ、と述べたことだ。被災者への配慮を欠き、非常識と言わざるを得ない。
安倍首相は桜田氏を事実上、更迭し、任命責任は自らにあると認めた。桜田氏の発言を陳謝した上で、「被災者に寄り添いながら復興に全力を傾ける」と述べた。
復興五輪を掲げる中、桜田氏の発言を放置すれば、安倍内閣の姿勢が問われかねない。衆院補欠選挙や夏の参院選も考慮し、早期に事態収拾を図る必要があると、首相は判断したのだろう。
桜田氏は昨年10月の就任以降、事実誤認や言い間違えを繰り返した。人の心を傷つけ、見識を疑わせる発言も少なくなかった。更迭は遅きに失した感が否めない。
国会では桜田氏の資質に焦点が当たり、所管する東京五輪の準備状況やサイバーセキュリティー対策の論戦は深まらなかった。
昨年の内閣改造は、自民党総裁選で連続3選を果たした首相が、自らを支えた派閥に論功行賞でポストを割り振った側面が強い。
適材適所の原則を軽視すれば、結局、そのツケを払うことになる。人事権者として改めて肝に銘じなければならない。
桜田氏の後任には、五輪相を経験し、被災地の事情に精通する岩手選出の鈴木俊一氏を充てた。信頼回復を急ぐ必要がある。
五輪は来年に迫る。テロやサイバー攻撃への対策といった危機管理の強化や交通渋滞の解消、暑さ対策など、政府が解決すべき課題はなお多い。明確な計画に基づいて、関係省庁が緊密に連携して取り組むことが求められる。
見過ごせないのは、安倍政権の緊張感の欠如である。
今月5日には、塚田一郎・前国土交通副大臣が、首相と麻生副総理の地元の道路整備を巡る軽率な発言で辞任したばかりだ。
自民党1強が続き、「多少、悪乗りしても大丈夫だ」といった甘い考えが党内に
政権を担う党としての重責を忘れれば、国民の支持は一気に失われよう。首相は指導力を発揮し、党内を引き締めねばならない。
長期政権ゆえ、国民の「飽き」も広がりつつある。惰性を排し、政策目標を立てて、一つ一つ結果を出していくことが肝要だ。



















