ブラックホール 国際連携で宇宙の謎に迫った

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 宇宙の成り立ちの解明に迫るノーベル賞級の研究成果と言えよう。

 日米欧などの国際チームが、謎の天体「ブラックホール」の撮影に初めて成功した。100年以上も前にその存在が提唱されながら、これまでは実際に見ることができなかった。

 ブラックホールは極めて強い重力を持ち、光さえも出て来られない。銀河の中心など宇宙のいたる所に存在し、巨大なものでは、質量が太陽の100億倍もある。

 従来、周囲を回る星や物質の動きなどから、間接的に存在が推定されていた。今回は、ブラックホールに引き込まれるガスが放つ電波を捉えることで、黒い天体を画像として映し出した。

 目に見える形でブラックホールの存在を直接確かめることが出来た意義は大きい。研究が進めば、銀河がどのように形作られたかが分かる可能性もある。

 今回の観測が成功したのは、国際連携のたまものだ。

 米国を中心としたチームは、ハワイやチリなど8か所の電波望遠鏡を使った。地球から約5500万光年離れた、銀河M87のブラックホールに狙いを定めた。

 望遠鏡のデータを合成することで、地球サイズの巨大望遠鏡と同じ性能を実現し、月の上に置いたゴルフボールを地球から見分けられる「視力」を得た。大量のデータは米独のスーパーコンピューターで詳細に分析した。

 チームには、世界約80の研究機関から200人超が参加した。韓国やマレーシアなどアジアの国々も研究に加わっている。

 先端科学の研究は、人も装置も一国のみで賄うのは難しい。今回のように、各国が協力して成果に結び付けることが重要である。

 日本の貢献も大きかった。

 チリのアルマ望遠鏡では、日本の装置や技術が使われている。8か所の望遠鏡の中で最も感度が高く、精度の向上に役立った。データ分析では国立天文台の研究者が優れたプログラムを開発した。

 日本では、1971年に小田稔博士がX線を使い、ブラックホールの有力候補である天体を発見した歴史がある。これを機に、世界で候補探しが活発化した。

 日本の研究者がこれからも活躍できるよう、環境を整えることが欠かせない。

 科学で得られる知の蓄積は、人類共通の財産である。今回のブラックホールの撮影成功が、若い人たちの科学への関心を高めるきっかけになるといい。

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538929 0 社説 2019/04/16 05:00:00 2019/04/16 05:00:00

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