イスラエル 強硬路線は中東の混乱を招く

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 パレスチナに対するイスラエルの強硬路線の継続は、中東和平を一段と困難にし、地域の混乱と不安定化を招く恐れがある。情勢が悪化することへの警戒が欠かせない。

 イスラエル総選挙で、与党リクードを軸とする右派勢力が過半数を確保し、ネタニヤフ首相が続投する見通しとなった。

 ネタニヤフ氏は、首相に返り咲いた2009年から再任を重ねてきた。長期政権下の経済成長と治安対策が、右派・中道層を中心に評価されたのだろう。

 問題は、選挙戦の終盤に、ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地を併合する意向を示したことだ。

 イスラエルが1967年の第3次中東戦争で占領した区域では、多くのパレスチナ人の土地が没収され、ユダヤ人の移住が進む。西岸の居住者は約41万人に上る。

 入植地の併合に踏み切れば、パレスチナ国家とイスラエルが共存を目指す「2国家共存」による和平は遠のく。占領地への入植を国際法違反とみなす国際社会の反発も避けられまい。

 ネタニヤフ氏の強硬姿勢の背景には、パレスチナのイスラム主義組織ハマスとの衝突が長期化し、和平交渉が2014年から中断していることに加え、トランプ米大統領との蜜月関係があろう。

 トランプ氏は、イスラエルが第3次中東戦争で占領したシリアのゴラン高原について、イスラエルの主権を承認した。ネタニヤフ氏は「外交成果」とアピールし、自らの汚職疑惑で劣勢だった選挙戦の巻き返しに利用した。

 米政権は、新たな中東和平案を策定し、仲介に乗り出すという。「力による現状変更」を否定し、イスラエル側にも譲歩を迫る内容でなければ、パレスチナ側を説得することはできまい。

 米国とイランの間で緊張が高まっているのも気がかりだ。

 トランプ氏は、イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」をテロ組織に指定し、圧力を強化する方針を表明した。革命防衛隊による反米・反イスラエル組織の支援への対抗措置と位置付けている。

 中東でのイランの影響力拡大に注意が必要なのは確かだが、圧力一辺倒で孤立させる政策は、不測の事態を招きかねない。

 日本は中東から、石油、ガスなど多くのエネルギーを輸入する。地域の安定は、国益に直結する。政府は、米国、イスラエル、イランのいずれの国とも良好な関係を築いている利点を生かし、対立の緩和を促さねばならない。

無断転載禁止
540629 0 社説 2019/04/17 05:00:00 2019/04/17 05:00:00

おすすめ記事

アクセスランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ