日の丸液晶頓挫 国の後ろ盾が甘えを生んだ

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 「日の丸液晶」が頓挫した。経営の見通しを誤り、対応が遅れた背景には国の後ろ盾への甘えがあったのではないか。

 液晶大手「ジャパンディスプレイ」(JDI)が、台湾や中国の企業連合の傘下で再建を目指すことになった。最大800億円の支援を受ける。

 25%を出資している官民ファンドのINCJ(旧産業革新機構)は、筆頭株主から外れる。

 度重なる支援を受けながら、立て直せなかった歴代経営陣の責任は重い。経済産業省やINCJも投資判断の適正さを検証し、今後の教訓としなければならない。

 半導体大手エルピーダメモリが破綻するなど、国が事業結集の旗を振ったケースで失敗が少なくない。寄り合い所帯で責任の所在があいまいなことも一因だろう。

 JDIは日立製作所、ソニー、東芝3社の中小型液晶事業を統合して2012年に発足した。再編を主導したのは旧革新機構で、経産省もそれを後押しした。

 スマートフォン向けが強みで、米アップルとの大口取引で売り上げを伸ばした。しかし、巨額投資で攻勢を強める韓国勢や中国勢との競争激化によって液晶パネル価格が下落し、収益が悪化した。

 スマホへの過度な依存が響き、19年3月期の最終利益は5期連続の赤字になる見通しだ。「液晶王国」と言われた日本の象徴的な存在だっただけに残念である。

 月崎義幸社長は記者会見で「スマホ一本足打法」からの脱却を加速させる考えを示したが、遅きに失した感は否めない。

 JDIはグループ全体で1万人近い従業員を抱え、石川県など国内に五つの工場を持つ。国内拠点の統廃合を今後検討するという。戦略の再構築が急がれる。

 まずは、省電力で薄型の「有機ELパネル」の出遅れをどう挽回するかが課題になろう。ライバルの海外メーカーは資金力が豊富で、厳しい競争が予想される。

 幸い、自動車の計器盤(インパネ)やカーナビゲーション用の液晶事業などは堅調である。需要の変動が激しいスマホ向けより安定した収益を見込める。非スマホ分野の競争力を底上げしたい。

 懸念されるのは米中対立の影響だ。外国企業による米企業の買収を審査する米政府の対米外国投資委員会(CFIUS)が、再建計画を認めない可能性がある。

 JDIは米企業ではないが、アップルと取引が多い。CFIUSの裁量は大きく、中国企業の関与をどう判断するか注目される。

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540630 0 社説 2019/04/17 05:00:00 2019/04/17 05:00:00

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