ゲノム編集 規制と研究の両立目指したい

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 ゲノム編集技術は医学研究に有用と期待される一方、人への応用は倫理面で課題もある。適切なルール作りが重要だ。

 政府が、この技術の医療応用について、法律による規制の検討に乗り出す。今週、内閣府の生命倫理専門調査会の作業部会に方針を示し、了承された。

 人の受精卵の遺伝子をゲノム編集で改変し、出産を前提として子宮に入れる行為を禁止することなどが想定されている。

 きっかけは、中国で「ゲノム編集ベビー」誕生が確認されたことだ。中国当局は、こうした生命操作を指針で規制してきたが、研究者の暴走を止められなかった。

 これまでは日本も、特別に法律は設けず、指針で対応する方針だった。新しい技術だけに利用形態はすぐに変わる。制定までに時間のかかる法律では柔軟に対応できないとの判断だった。

 今回、法規制を設ける方針に転じたのは、ゲノム編集の進展が予想を超えたからだろう。

 懸念されるのは、編集の手軽さだ。培養細胞に試薬を加えるだけで遺伝子を改変できる。中国の例では、これを受精卵に用いた。

 同様の行為に挑む研究者が他にもいるかもしれない。作業部会の専門家からは「強制力を伴う法規制が急務」との声が相次いだ。

 ゲノム編集は狙った遺伝子を精度良く変えられるが、時に目標を外してしまう。一部の遺伝子改変が悪影響を及ぼす恐れもある。誕生した子供に予期せぬ病気発症のリスクが残り、子孫に伝わる。

 遺伝子を操作した「デザイナーベビー」への悪用も心配だ。

 世界保健機関(WHO)は、諮問委員会を設けて対応を検討している。先月の初会合では、ゲノム編集を人に用いる研究に登録制度を導入することを提唱した。

 政府は、こうした国際的な規制の動きを十分に考慮しながら、議論を進めてもらいたい。

 法規制と並行して、政府は、ゲノム編集を用いた基礎研究を生命倫理に沿って進めるための方策を検討する。先天性の疾患などの解明に役立てる狙いだ。日本医師会は、ゲノム編集による難病の究明や治療法開発を期待する。

 いずれも、受精卵や受精前の卵子、精子に手を加えるが、子宮には入れない。ただ、生命の始まりを操作するだけに、個々のテーマごとに倫理上の観点から、厳格に審査する仕組みが欠かせない。

 医療は厚生労働省、研究は文部科学省が担う。連携を密に、規制と研究の両立を目指したい。

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545822 0 社説 2019/04/20 05:00:00 2019/04/20 05:00:00

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