物流の危機 人手不足克服へ荷主も協力を

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 深刻な人手不足で、モノの流れが停滞しつつある。社会全体で協力し、重要なインフラ(社会基盤)である物流を持続可能にしていきたい。

 近年、インターネット通販の荷物が急激に増えた。しかし、トラック運転手はピーク時より20万人以上減っている。人員の補充は思うように進んでいない。トラック運転手の求人倍率は3倍を超え、全産業の平均を大きく上回る。

 人手不足は、運賃の大幅な上昇につながる。このところ飲食料品などで値上げが相次いでいるのも、物流コストが一因だ。

 年度末に希望通り転居ができない「引っ越し難民」が発生し、政府や業界が時期の分散化を呼びかける事態を招いている。

 物流の停滞や運賃高騰は、経済活動の足かせになりかねない。官民での対策が急務である。

 物流の現場では、長時間の荷待ちや手作業による運搬が運転手の負担となっているケースが多い。これが、女性や高齢者の就労を妨げる要因ともなっている。

 国土交通省によると、トラック運転手の労働時間は全産業の平均と比べ、約2割長い。業界の「働き方改革」が必要だ。その実効性を高めるには、立場の強い荷主側の協力が欠かせない。

 国交、経済産業、農林水産の3省は、上場企業など約6300社に物流効率化への協力を求める文書を送った。「ホワイト物流推進運動」と名付け、趣旨に賛同して自主行動計画を作成した場合は、企業名を公表する。

 改善すべき推奨項目を列記し、具体的な方策も示した。

 例えば、先着順で積み下ろししているため、トラックが特定の時間に集中し、長い待ち時間が発生するケースがある。予約制を導入すれば、大幅に短縮できる。

 運送業者が効率的な輸送計画を立てられるよう、早めに出荷情報を提供することも大切だ。

 段ボール箱の積み替えを、手作業からフォークリフトに切り替えると、作業時間が3分の1以下になるとの事例も紹介した。

 ただ、長年の慣行を変えるのは容易ではなかろう。荷主にコスト負担が生じるケースも想定される。協力の拡大に向けて、各省には、企業への丁寧な説明と、粘り強い働きかけが望まれる。

 個人の意識改革も要る。宅配便の再配達を減らすため、宅配ロッカーやコンビニでの受け取りなどを活用したい。玄関先などに荷物を置いて配達完了とする「置き配」の普及も、今後の検討課題だ。

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545823 0 社説 2019/04/20 05:00:00 2019/04/20 05:00:00

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