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統一選終了 人口減に向き合い地方再生を

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◆政治の担い手確保を急ぎたい◆

 過疎化が進み、地方の市町村の機能維持は容易でない。政府と自治体は危機感を持って活性化策を講じる必要がある。

 平成最後となる統一地方選の後半戦が終了し、政令市以外の市区町村の首長と議員が決まった。前半戦に続き、無投票当選が目立ったのは深刻な事態だ。

 86市長選の3割超、121町村長選の5割近くが無投票だった。茨城県日立市長選は5回連続、人口約1200人の北海道初山別村長選は12回連続で、告示日に当選者が決まった。

 町村議選では、北海道、長野などの計8町村で立候補者数が定数に満たず、定数割れとなった。

 ◆議員の処遇改善を図れ

 地方政治を志す人材が減れば、議員の質の低下を招きかねない。有権者にとっては、自治体の将来を考え、より良い選択をする機会が失われる。これでは地方の衰退に歯止めをかけるのは難しいと言わざるを得ない。

 議員のなり手不足に苦しむ自治体や議会は、独自の対策を講じ始めている。

 議会を廃止して有権者による町村総会を検討した高知県大川村は、8年ぶりの村議選となった。兼業規制を明確にし、立候補しやすい環境を整えたことが奏功した。

 低い水準にある議員報酬を引き上げた自治体も少なくない。

 特に町村議の待遇の低さがかねて指摘されている。一定の処遇改善は欠かせまい。地方議員に認められる政務活動費の適切な運用も合わせて進めるべきだ。

 夜間・休日の議会開催といった柔軟な運営を図っていくことも大切である。地方公務員が勤務地以外の自治体で議員になれる制度は、検討に値しよう。

 多様な人材が名乗りをあげられるような仕組みを作る意義は大きい。政府は、そのために必要な法整備を図らねばならない。

 市議選は、女性の候補者、当選者ともに過去最多となった。女性の議会進出を後押しする法が成立したことも影響したのだろう。

 総務省の人口推計によると、日本の総人口は8年連続で減少する一方で、東京都の人口は、20年以上続けて増えている。地方の空洞化が加速している。

 市町村は人口減と高齢化を直視し、教育や福祉、町づくりを計画的に進めなければならない。

 ◆広域連携が欠かせない

 住民サービスを維持するため、自治体は効率的な行政運営に努めることが欠かせない。政策の優先順位を明確にして、身の丈にあった施策を進めることが肝要だ。

 近接する市町村が広域的に連携し、行政機能を維持する方策を考える必要がある。都道府県と市町村が協力して広域圏の産業や観光振興の構想をまとめ、戦略的に取り組むことが重要だ。

 地方ならではの豊かさにも目を向けたい。自然環境は子育てに適している。空き家や耕作放棄地は、起業の機会を提供しよう。

 地域の資源を活用しながら、若者が魅力を感じる仕事や、学びの場を作ることが大事だ。安心して子育てをしてもらうためには、育児支援の充実も急務だ。

 歴史、文化、自然といった各地の特性に磨きをかけ、若者に愛着を持ってもらえる街づくりを行うことが求められる。

 住民との積極的な対話を通じて英知を集め、地方の活性化につなげていくべきである。

 ◆全国一律の制度は限界

 安倍内閣は、地方創生を政権の重要課題に掲げている。交付金などを活用し、自治体の先導的な取り組みを支援してきたが、効果が十分に出ているとは言えまい。

 政府は、地方大学の特色作りを後押しするほか、企業の本社機能の移転など、活力を高める対策を強化しなければならない。

 農業の輸出拡大を図ることで農山村に雇用機会を確保し、若者の定着を促すことが不可欠だ。

 平成の大合併で、3200以上あった市町村は1700まで再編された。議員や職員の削減という一定の効果はあったが、急速な人口減少に見舞われ、市町村は国への依存を高めている。

 地方財政は危機的状況だ。自治体全体の借入金残高は200兆円近くにのぼり、平成の30年間で3倍に増えた。「強い自治体」を作るという、地方分権の目指した本来の姿からは程遠い。

 都市と地方で行財政能力の格差が広がった結果、全国一律の自治体制度は限界に来ている。

 政府は、地方の意見を踏まえつつ、令和の時代にふさわしい柔軟な自治体のあり方を模索し、改革に取り組むことが大切である。

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549878 0 社説 2019/04/23 05:00:00 2019/04/23 05:00:00

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