日米首脳会談 双方に資する貿易協定が要る

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 ◆平和と安定へ同盟の意義確認を◆

 日米両国は強固な関係を維持し、アジア太平洋地域の安定と繁栄を図らねばならない。首脳間で緊密な連携の重要性を確認した意義は大きい。

 安倍首相がトランプ米大統領と会談し、新たな貿易協定交渉を加速させることで合意した。

 米国は、貿易摩擦の長期化などで中国や欧州と緊張関係にある。日米関係にまで綻びが生じれば、世界経済は先行き懸念が一段と高まりかねない。両首脳が、通商問題などを巡る対立を表面化させなかったのは適切だと言えよう。

 ◆予断許さぬ農業分野

 首相は会談で、「ウィンウィンとなる交渉を進めよう」と強調した。双方の成長に資するルール作りへ意欲を示した発言だ。

 日米は、世界の国内総生産(GDP)の約3割を占める。自由貿易の枠組みを両者が強化していくことは望ましい。早期妥結に向けて、閣僚級協議を精力的に重ねていくことが大切である。

 交渉の行方は、なお予断を許さない。日米間には依然として、意見の相違も目立つからだ。

 会談でトランプ氏は、交渉の合意時期について「私が訪日する(5月下旬より)前かもしれない」と述べた。2020年の大統領選をにらみ、早急に成果を上げたい意向があるのだろう。

 一方、日本は夏の参院選後の合意を望む。協定の内容次第では、農業関係者の反発を招く恐れがあるためだ。こうした思惑のズレが今後の交渉に悪影響を与えないよう注意を払う必要がある。

 トランプ氏は、農畜産品の貿易について「日本は重い関税を課している」と強い不満を示した。

 環太平洋経済連携協定(TPP)の発効などで、米国産品は対日輸出が不利な状態にある。これからの交渉で日本は、TPPを上回る市場開放を迫られかねない。

 TPPは、参加国が複雑な利害調整を経て、ようやく合意に達した枠組みだ。離脱した米国が、TPP加盟国より有利な条件を獲得するのは許されまい。早期妥結を迫るのなら、米国はTPPと同様の水準で折り合うべきである。

 首相は、日本の自動車メーカーによる対米投資が、米国の成長や雇用拡大に貢献していることを具体的な数字を挙げて説明した。

 ◆G20の亀裂修復したい

 米国の対日貿易赤字は、自動車分野が大半を占める。トランプ氏は、今回の会談でも、貿易赤字の削減に固執する姿勢を示したという。首相の説明でどこまで理解を得られたか、不安は拭えない。

 日本車への制裁関税や輸出数量規制を持ち出してくる可能性を、引き続き警戒せねばなるまい。

 自由貿易をゆがめ、国際ルールに反するような提案があれば、毅然きぜんと拒否することが不可欠だ。

 首相は、6月に大阪で開く主要20か国・地域(G20)首脳会議で議長を務める。今回の会談では、トランプ氏と、G20での合意形成に協力し合うことで一致した。

 トランプ政権は、多国間協議を軽視し、主要国の足並みを乱してきた。昨年末のG20首脳会議では、米国の反対で「保護主義と闘う」との文言を首脳宣言に盛り込めず、亀裂はさらに深まった。

 G20は、主要国が世界共通の課題に挑む場だ。結束を取り戻すよう、日本は主導的な役割を果たすことが求められる。

 トランプ氏は、G20での議論に積極的に参加し、協調体制の再構築に努めねばならない。首相は引き続き働きかけるべきだ。

 ◆拉致解決に粘り強く

 会談では、北朝鮮の完全な非核化に向け、韓国を交えた3か国で連携していく方針を確認した。

 2回目の米朝首脳会談が物別れに終わった後、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、中露を後ろ盾に、対米けん制を強めている。

 こうした情勢を踏まえ、日米の首脳が、北朝鮮との交渉方針をすり合わせた意味は小さくない。

 重要なのは、非核化に道筋がつくまで、北朝鮮への圧力を維持することだ。国連安全保障理事会の制裁決議を履行するよう、各国へ働きかける必要がある。

 米朝首脳会談でトランプ氏が日本人拉致問題を提起したことに、首相は謝意を伝えた。

 首相は、金委員長との直接対話に意欲を示す。拉致と核・ミサイル問題を解決することで、初めて国交正常化の道が開ける。北朝鮮への経済支援も可能となろう。こうした道筋を北朝鮮に伝え、粘り強く譲歩を促さねばならない。

 両首脳は、日米同盟の抑止力を高めていくことでも一致した。宇宙やサイバーなど、新たな領域での防衛協力を深めたい。

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559001 0 社説 2019/04/28 05:00:00 2019/04/28 05:00:00

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