平成の政治 中長期の難題に挑む態勢築け

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◆野党混迷で2大政党制遠のく◆

 政治主導の態勢を生かしつつ、中長期的な視野に立って政策課題に取り組む。平成時代の目標をどう実現していくか。

 内閣や政党に限らず、国民も問われている。

 平成の最初の数年間、政界は相次ぐ疑獄事件に揺れた。値上がり確実な未公開株が政権中枢に配られたリクルート事件や、大手建設会社が政治家に便宜を図るよう求めたゼネコン汚職事件である。

 首相や閣僚らが辞任に追い込まれ、政治不信は極まった。

 ◆「金権」の弊害薄まった

 原因とされたのは、自民党の派閥政治であった。衆院の中選挙区制の下では、各派閥の候補が同一選挙区で争った。派閥間の競い合いが長期政権を支える活力を生む一方、利益誘導を助長し、「金権政治」を招いた。

 1994年に成立した政治改革関連法は、中選挙区の代わりに、小選挙区を中心とする制度に改めた。政権交代を可能とし、政党中心の選挙への転換を目指した。

 政治資金規正法も強化された。民主主義に必要なコストとして、総額300億円超の政党交付金が支給されている。

 政治の浄化は、一定程度進み、「金権」の言葉を見かけることは減った。今問われているのは、資金の「入り」より「出」だ。

 政党や政治家が、国民の疑念を招かないよう、政治資金の使途の透明性を高め、適正な運用に努めるのは当然である。

 一連の政治改革が実施されたのは、平時というよりも、バブル崩壊と金融危機に至る1990年代の経済の混迷期だった。

 政治主導が整っておらず、右肩上がりの経済を前提とした護送船団方式や利益配分の仕組みの見直しに手間取った。

 求められたのは、優先順位を付けて政策を遂行し、規制緩和によって成長分野を伸ばすという機動的な政治への転換である。だが、旧態依然とした予算のバラマキから脱せなかった。

 景気刺激を名目に、財政支出を膨らませた。社会保障費を賄うため、平成元年に消費税の導入にこぎつけたが、10%への引き上げにメドが立つまで30年を要した。

 この間、参院で与党が少数となる衆参のねじれが相次いで生じた。野党が参院を舞台に、政府・与党を追い詰めたことで、政治と経済の混乱に拍車をかけた。

 ◆適正な給付と負担に

 財政収支は均衡を欠き、国と地方の借金残高は、1100兆円に上る。将来世代に、ツケを回していることにほかならない。経済の低成長が続き、国内総生産(GDP)は中国に抜かれた。

 今後、少子高齢化がさらに進み、現役世代の負担感は増す。今までのように、低い負担で手厚い給付をするようでは、持続可能な社会保障制度を築けまい。

 医療や介護制度などについて、給付抑制と負担増の改革が不可欠だ。消費税を10%からさらに引き上げる議論も避けられまい。成長戦略も強化する必要がある。

 明確な将来展望に基づき、政治が責任を持って、諸改革を実行に移すことが重要だ。

 衆参両院の選挙の多さの弊害から目をそらしてはなるまい。

 平成の30年間に、1年半に1回の割合で行われてきた。安倍首相も2012年の政権復帰後、衆院解散・総選挙に2回踏み切り、いずれも圧勝した。

 風向き次第で勝敗が大きく変わりうる小選挙区制の怖さが、目先の政策にとらわれがちな傾向を助長していないか。

 長年政権の座にある自民党は、国民の痛みを伴う改革を粘り強く訴えねばならない。

 政治改革の目標でありながら、実現しなかったのは政権交代可能な2大政党制の定着である。

 ◆国会で建設的論戦を

 政権を担いうる野党を目指して、新進党が1994年に発足したが、3年後に崩壊した。

 2009年に、政権の座についた民主党は、非現実的な公約に固執して行き詰まった。東日本大震災での拙劣な対応もあり、国民の支持を失い、3年余りで野党に転落した。旧民主党勢力の解体過程はいまだに続いている。

 自民党と抵抗路線の旧社会党が対峙たいじした55年体制に近付いているようにも見受けられる。

 政治改革が掲げた「政策本位の政党政治」を実現するためには、野党が、党内論議を重ねて、内政と外交に関する現実的な政策を磨くことが欠かせない。

 対案を提示し、政府に建設的な論戦を挑むべきだ。そのことが政治に緊張感をもたらそう。

560235 0 社説 2019/04/29 05:00:00 2019/04/29 05:00:00

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