平成から令和へ 平和と安定へ努力重ねたい

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 天皇陛下が退位され、平成時代が幕を下ろした。

 平和で、落ち着いた社会を維持したまま、令和元年の初日を迎えたことに私たちは胸を張ることができよう。

 激動の昭和に続く平成を振り返り、引き継ぐものと、改めるものを峻別しゅんべつして力強く次代へ歩み出したい。

 この30年余り、日本は、長期の景気低迷、国際的競争の激化、相次ぐ大規模な災害といった試練にさらされてきた。

 特に、経済での逆風は強く、バブルは崩壊し、世界を席巻していた日本企業は勢いを失った。一時の急な円高で、産業の空洞化は進み、技術革新力の見劣りは否定できない。

 国内総生産(GDP)は中国に抜かれ、1人当たりGDPの世界での順位は低下した。財政も著しく悪化してきた。いずれも停滞を示しており、現状に安住してはなるまい。

 ただ、実力以上に膨張した経済や、過去の成功体験は持続可能ではなかった。遅かれ早かれ、日本経済は転機を迎えただろう。

 ◆「守成」の困難に直面

 政も官も民も、改革で苦難を乗り切ろうとした。

 衆院の選挙制度改正や省庁再編で、政治と行政の仕組みは変わった。荒波を受けた金融や流通、電機などの業界は再編された。改革は、まだ途上にある。

 戦後復興が荒廃からの事実上の「創業」だったのに対し、平成の日本は経済大国の座を保持する「守成」の難しさに直面した。

 特筆すべきは、厳しい局面でも混乱を抑えようとした努力である。雇用の継続を重視する企業は多く、完全失業率は最悪期でも5%台にとどまった。

 この間の内閣は延べ18にもなるが、政治は、おおむね中庸を重んじ、行き過ぎた市場原理主義やポピュリズムは蔓延まんえんしなかった。

 安定を優先した選択を多くの国民は支持するのではないか。

 内閣府の昨年の世論調査で現在の生活に「満足している」とした回答は、過去最高の74%に達した。生活の程度を「中の中」と答えた人は6割近くいた。

 所得格差を示すジニ係数は、徴税や受給した公的年金を反映すれば、緩やかな上昇にとどまる。家計の金融資産は30年前の倍の1800兆円超となった。

 それなりに豊かな中間層が日本を支えている。

 ◆中間層が支える日本

 平成は、明治以降で、戦争がなかった初めての時代である。

 しかも「一国平和主義」に閉じこもることなく、安全保障体制を整えた。

 米ソ対立を前提とした日米同盟は冷戦終結後、新たな国際情勢に即応する形に改められた。防衛費の急増を招かずに自衛隊の能力も向上させた。

 強大化する中国、核・ミサイルを保有する北朝鮮、軍事大国のロシアに囲まれる日本に、他の現実的な選択肢はありえなかった。

 平成に改元した翌日の1989年1月9日、本紙社説は、私たちは平和と繁栄をさらに確固たるものにする責任がある、と書いた。曲折を経たものの、合格点に達したと言えよう。

 多くの先進国が政治的対立に苦しむ。米国の激しい党派的分断、英国の欧州連合離脱問題での迷走、フランス・パリの騒乱だ。

 政治的中間派の退潮や、格差の急拡大、移民や難民の大量流入といった事情が底流にあるのだろう。同じ道を歩まないよう注意を払う必要がある。

 ◆政治社会の分断防げ

 日本は、急速な人口減少、積み上がる債務残高、いずれ来る大災害などの課題への対処が迫られている。模範にできるような国は、見当たらない。

 自らの創意で長期戦略を練り、粘り強く実行することが唯一の解決策である。悲観論に振り回されず、政治・社会の深刻な分断を回避しなければならない。

 インターネット上で膨大な情報が瞬時に拡散する時代にも、国民の知的水準を維持し、穏当な世論の形成を促すことが何よりも重要である。

 新天皇陛下が即位され、令和の時代が始まる。平和と安定、繁栄を維持するため、新たな気概を持って国づくりに取り組みたい。

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562765 0 社説 2019/05/01 05:00:00 2019/05/01 05:00:00

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