こどもの日 新しい時代を切り開く人材に

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 ◆健やかな成長を社会で支えたい◆

 今から20年後には、どんな社会になっているのだろうか。それを思い描くことは難しい。

 技術革新やグローバル化で目まぐるしく変わる世界を、子供たちは生きていく。自分を信じて夢に挑戦し、未来を切り開いていってほしい。

 新しい時代にふさわしい人材をいかに育てるか。大人に課せられた大きな課題である。健やかな成長を社会全体で後押ししていく必要がある。令和最初のこどもの日に、その認識を新たにしたい。

 ◆能動的に学ぶ姿勢を

 人工知能(AI)の発達で、子供たちの65%は将来、今は存在しない職業に就くとの説がある。

 従来と同じ発想や受け身の姿勢では通用しない。自ら判断して目標を定め、課題を見つける。様々な人と協力しながら解決策を導き出す。知識や情報を結びつけて、新しい価値を創造する。そうした資質・能力が求められる。

 教室の風景が平成の初め頃とは大きく変わりつつある。

 「うまく動かないな」「センサーの感度を変えてみよう」。友達と話し合いながら、タブレット端末を操作し、子供たちが試行錯誤を繰り返している。

 東京の渋谷区立西原小学校で、理科の授業に取り入れているプログラミング学習の一場面だ。端末上でセンサーやモーターを制御するプログラムを考え、人を感知して鳴るブザーや一定の温度になると動くプロペラなどを作る。

 課題を明らかにして一つ一つクリアする経験を積むことで、自分の思考を整理し、表現する力が向上しているという。

 ◆情報判断力を養おう

 2020年度から実施される新学習指導要領では、能動的な学習を重視している。教員が一方的に教える従来型の授業は、次第に減っていくのだろう。

 今の子供たちは、物心ついた時からIT機器に囲まれてきた。インターネット上で検索すれば、あらゆる情報に瞬時にアクセス可能だ。子供たちが知ることができる世界は大きく広がった。

 一方で、ネット上には真偽不明の情報も多い。学校でも今後、ネットを利用する場面は増える。それだけに、新聞などを使って、情報の真偽を見極める能力を養成することが欠かせない。

 身近な商店街は今どんな状況に置かれているか。地球温暖化がこのまま進むとどうなるか。現実の社会問題に早い時期から関心を持つことも大切だ。

 街で働く人にインタビューしたり、専門家に話を聞いたりする。社会との接点を持つことで、子供たちの好奇心は刺激される。学校内にとどまらず、様々な場で、子供の学びを支えたい。

 平成の時代は、子供を取り巻く環境の厳しさが顕在化した。

 悲惨な児童虐待が後を絶たない。2000年に児童虐待防止法が施行されてから、社会的関心の高まりもあって、児童相談所の対応件数は年間13万件にまで増えた。被害を受けた子供が死亡するケースも年間約80人に上る。

 児童相談所など関係機関の連携強化は当然だが、地域住民も子供たちの異変に敏感でありたい。

 貧困家庭で暮らす子供の問題も注目を集めた。バブル崩壊後の不況下で低賃金の非正規雇用が増え、子育て世帯の家計にも影響したことが背景にある。

 ◆残された課題解決急げ

 救いは、困難を抱える地域の子供に手を差し伸べる動きが広がってきたことだ。無料か低額で食事を提供するこども食堂や、学生ボランティアらによる学習支援の活動が根付いてきた。

 地域の温かい目と心遣いは、子供の自尊心や意欲を育む上で大切だ。支援策を拡充したい。

 10月から、幼児教育・保育の無償化がスタートする。

 大切なのは、子供たちが健やかに育つ環境を整えることだ。保育所に入れない待機児童の解消へ向けた受け皿確保はもちろん、保育士の配置数を増やし、併せて資質の向上を図る必要がある。

 幼児期はその後の成長への影響が大きい時期だ。すべての子供が適切な教育・保育を受けられるようにしなければならない。

 読売中高生新聞が読者世代を対象に実施したアンケートで、新時代に大切にしてほしい価値観を尋ねたところ、「平和」がトップで、「安全」「安心」が続いた。

 平和で安全・安心な社会は、何もしないで実現できるものではない。未来を担う子供たちには、自分たちの手で築き上げる気持ちを持って、令和の時代を一歩一歩進んでいくことを期待する。

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567709 0 社説 2019/05/05 05:00:00 2019/05/05 05:00:00

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