「北」発射訓練 米国に譲歩を迫る揺さぶりだ

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 完全な非核化を求める米国を揺さぶるための軍事挑発だと言えよう。トランプ政権は、北朝鮮の戦術に惑わされず、毅然きぜんとして対処すべきだ。

 北朝鮮が、日本海に向けて、「戦術誘導兵器」と「長距離ロケット砲」を発射する訓練を行ったと発表した。金正恩朝鮮労働党委員長が立ち会ったという。

 地域の軍事的緊張を高める行為であり、看過できない。

 専門家は、「誘導兵器」が、新型の短距離弾道ミサイルであった可能性を指摘している。北朝鮮の弾道ミサイル発射は、国連安全保障理事会の制裁決議で禁じられている。関係国が協力して実態解明を急ぐ必要がある。

 2月の米朝首脳会談は、制裁解除を求める北朝鮮に対し、米国が完全な非核化を求め、物別れに終わった。北朝鮮は責任を米国に押しつけたままだ。

 金委員長は、軍事挑発を段階的にエスカレートさせ、3回目の首脳会談を迫っているのだろう。

 北朝鮮と韓国は、昨年9月の南北首脳会談に合わせて結んだ南北軍事分野合意で、「一切の敵対行為の中止」を定めた。今回の訓練が、合意が目指す緊張緩和に逆行しているのは明白である。

 ポンペオ米国務長官は、飛距離が短かったとして、「米国と韓国、日本の脅威となるものではなかった」と強調した。北朝鮮が短距離兵器で韓国を攻撃できることを考えれば、首をひねりたくなる。

 トランプ米大統領もツイッターで、金委員長について「私と交わした約束を破りたくないはずだ」などと述べ、非核化の合意達成に楽観的な態度を見せた。

 問題は、米韓両国が毎春行ってきた大規模な合同軍事演習を中止した後も、北朝鮮が軍事力の誇示を続けていることだ。米韓は、北朝鮮に対する抑止力が低下しないよう、同盟の即応態勢の維持に努めねばならない。

 トランプ氏と安倍首相は電話会談を行い、北朝鮮への対応をすりあわせた。日米は連携を強化し、北朝鮮の核と弾道ミサイルの放棄を粘り強く追求すべきだ。

 安倍首相は会談後、「あらゆるチャンスを逃さない」と述べ、前提条件なしに日朝首脳会談の実現を目指す考えを表明した。

 日本人拉致問題を前に動かすために、直接会う意図は理解できる。米中韓露の首脳はすでに、金委員長と会談している。

 非核化が停滞する中で日朝関係を改善するのは容易ではないが、対話の道を探ってもらいたい。

571315 0 社説 2019/05/08 05:00:00 2019/05/08 05:00:00

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