検察審査会 強制起訴の在り方検証したい

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 検察の不起訴の判断について、市民がチェックする。こうした検察審査会を適切に機能させることが欠かせない。

 審査会の議決に基づき強制的に起訴できる制度が導入されて10年になる。裁判員制度と共に、国民の司法参加の一環として2009年に始まった。

 それまでは、審査会の議決に法的な拘束力はなかったが、法改正で権限が強化された。これにより、9事件で13人が強制起訴された。事例が蓄積されつつある中、制度を検証し、問題点を洗い出す時期に来ていると言えよう。

 検察審査会は、有権者の中からくじで選ばれた11人で構成される。8人以上の賛成で、起訴を求める議決が2回出されると、対象者は必ず起訴される仕組みだ。

 強制起訴されたのは、JR福知山線の脱線事故や小沢一郎氏の資金管理団体を巡る事件など、世間の耳目を集めたものが目立つ。東京電力福島第一原発事故を巡っても、被告となった東電旧経営陣3人の判決が9月に控える。

 法廷は本来、個人の刑事責任を問う場だ。ただ、起訴されたことにより、裁判で事故の詳細な経緯や、政治家を巡る資金の流れが明らかになった面はある。

 制度導入により、検察は、審査会で審査される可能性を踏まえて緻密ちみつに捜査し、より慎重に起訴・不起訴の判断をするようになった。審査会の議決を受けて、検察が不起訴から一転して、自ら起訴した例も少なくない。

 起訴権限を独占してきた検察のチェック役として、審査会は一定の役割を果たしている。

 一方、強制起訴された事件で、無罪が相次いでいることは無視できない。これまでに有罪が確定したのは2人にとどまる。

 審査の対象となるのは、検察が証拠上、起訴できないと判断した事件だけに、有罪立証のハードルは元々高い。だが、最終的に無罪になったとしても、被告の立場に置かれた人の負担は大きい。

 現在の制度では、審査対象になったことさえ本人に知らされず、弁明する機会も法的に保障されていない。審査会において、対象者の防御権をどのように確保するかは、大きな課題である。

 市民だけで結論を出す審査会では、法的な観点からの助言が重要になる。弁護士が審査補助員として助言する仕組みを、もっと積極的に活用するべきだ。

 審査会が適正な判断を重ねていくことが、強制起訴制度への信頼につながるだろう。

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575322 0 社説 2019/05/10 05:00:00 2019/05/10 05:00:00

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