米イラン対立 強硬策の応酬に歯止めかけよ

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 イランを巡る情勢の不安定化は、中東の混迷を一段と増大させ、世界経済にも悪影響を与える。米国とイランの双方に、自制が求められる。

 トランプ米政権による圧力策への対抗措置として、イランが核合意の一部の義務について、履行を停止すると表明した。濃縮ウランと重水の国内貯蔵上限を順守せず、蓄積を始めるという。

 原油・金融取引を再開する保証を60日以内に得られなければ、高濃度の濃縮ウラン生産など、核開発を本格化する方針も示した。合意違反の行為を通じて、関係国を恫喝どうかつする戦術は容認できない。

 対立が激化した責任は、トランプ政権にもある。オバマ前政権が主導した2015年の核合意に重大な欠陥があるとして、1年前に離脱し、制裁を再発動した。

 今月初めには、イラン産原油の禁輸を巡り、日本など8か国・地域に認めていた適用除外措置を撤廃した。イランの合意履行停止を受けて、鉄鋼や銅などの取引を禁じる追加制裁も打ち出した。

 イランが中東の紛争に介入し、米国の影響力低下を狙っている現状への危機感は理解できる。イランの核活動制限が10~15年にとどまるなど、核合意に改善の余地があるのも確かだ。

 だが、制裁圧力をかけ続けるだけで、イランの行動を改めさせることができるのか。

 米国の制裁により、イランの原油輸出は激減し、経済は苦境に陥った。国内では、穏健派のロハニ政権への不満が大きくなり、保守強硬派の発言力が増している。軟化は当面、期待できまい。

 米国の真の狙いが、イランの体制転換にあるとみなされるようでは、問題解決は困難だろう。

 核合意には、イランの核開発の進展を防ぎ、中東の核開発競争を阻止する意義がある。合意に残留している英仏独中露は、イランへの働きかけを強め、合意崩壊を食い止めなければならない。

 懸念するのは、米イラン双方で強硬派の主張がエスカレートし、軍事的緊張が高まる事態だ。

 米政府は、イランが中東の米軍部隊への攻撃を準備している兆候があるとして、空母打撃群の派遣を決めた。イランでは、原油輸送の動脈であるホルムズ海峡の封鎖を警告する発言も出ている。

 不測の衝突に至らないよう、挑発的行為の抑制が必要だ。

 イラン制裁による供給先細りの観測から、原油価格は高止まりが続く。世界の景気を冷え込ませる原油高への警戒が欠かせない。

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575323 0 社説 2019/05/10 05:00:00 2019/05/10 05:00:00

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