高等教育無償化 国民の理解が得られる運用を

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 低所得世帯を対象に、高等教育の無償化を図る大学等修学支援法が成立した。希望者に必要な支援が行き渡るよう、適切な運用が欠かせない。

 大学・短大や専門学校など高等教育への進学率は、全世帯では約8割になる。これに対し、年収270万円未満の住民税非課税世帯を見ると4割程度にとどまる。経済的な理由で進学を諦めざるを得ない人が少なくない。

 支援法が、無償化の対象を家計が苦しい世帯に絞り、意欲と能力のある若者に、高等教育の機会を保障する趣旨は理解できる。

 授業料が減免されるのは、4人家族なら年収380万円未満の世帯だ。270万円未満の世帯では、国公立大で授業料全額、私立大では年間70万円まで免除される。

 返済不要な給付型奨学金も拡充され、最高額が現在の年48万円から約91万円に引き上げられる。

 今秋の消費増税分のうち、7600億円を財源に充て、来春から実施される。修学支援としては、かつてない規模と言える。

 無論、高校卒業後の進路は大学進学だけではない。目標を定めて働く選択も尊重されるべきだ。こうした人に今回の支援は届かない。不公平感を抱かれないためには、厳格な運営が求められる。

 支援対象の学生に、勉学への真摯しんしな取り組みと、一定の成績を求めるのはもっともである。

 取得単位数が必要数の5割以下の場合や、成績が続けて下位25%となった時は支援を打ち切る。こうした基準を、文部科学省が検討している。病気などのやむを得ない事情に配慮した上で、適切な要件を定めてもらいたい。

 支給される奨学金には、下宿代や生活費が含まれている。学生には、公費で賄われていることを常に忘れず、あくまでも学業に生かす使い方をしてほしい。

 授業料減免の対象となる大学には、実務家教員が担当する授業を、1割以上設定するよう義務づけるという。職業に結びつく教育を推進する狙いがある。

 ただ、専攻分野によっては、職業や実務とは直接的に結びつかない学問もある。実践的教育が過度に重視されると、教育内容への制約につながるのではないか。

 一方、大学の数は、少子化の影響で過剰気味だ。学生の確保に四苦八苦している所も多い。無償化が救済策と国民に受け取られぬよう、経営状態に難のある大学を対象外とするのは当然だろう。

 各大学も、教育の質の向上に努力を怠ってはならない。

無断転載禁止
577487 0 社説 2019/05/11 05:00:00 2019/05/11 05:00:00

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