上場企業決算 変革続け新たな成長目指そう

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 企業業績は、中国経済減速などのマイナス要因があったものの、総じて底堅い。新たな成長を目指し、変革の手を緩めるべきではない。

 東京証券取引所に上場する企業の2019年3月期決算の発表がピークを迎えた。金融を除く1部上場企業の最終利益は、過去最高だった18年3月期並みか、それをやや下回る水準になりそうだ。

 特徴の一つは、基幹産業の自動車や電機で減益決算が目立った点である。米中貿易摩擦の影響などが大きかったとみられる。

 一方で、ゲームや音楽事業が好調だったソニーのように、成長分野に注力して過去最高益となった企業もある。顧客ニーズの変化に対応して構造改革を大胆に進めていくことが大切と言えよう。

 企業の経営者から厳しい現状認識が相次いだのは目を引く。

 トヨタ自動車は、日本企業としては初めて売上高が30兆円を超えた。しかし、豊田章男社長は「過去の成功モデルに頼っていては未来はない」と述べた。電動化の波や、IT(情報技術)企業の参入に直面しているからだろう。

 利益を削ってでも、将来を見据えた研究開発や設備投資を続けなければ生き残れない。危機感は他の企業にも参考になるはずだ。

 今後、高速・大容量の次世代通信規格「5G」普及に向けた動きが加速する。AI(人工知能)など先端技術も進化し、産業構造は大きく変わる。ビジネスチャンスを逃さないことが重要になる。

 トヨタとパナソニックは住宅事業の統合を発表した。人口減に伴う市場縮小が背景にあろう。こうした異業種連携も、競争力向上のカギを握るのではないか。

 経団連の集計では、大手企業の春闘の賃上げ率は今年を含め6年連続で2%を上回る。余裕のある企業は「人への投資」を継続し、消費を下支えしてもらいたい。

 心配なのは、米中対立の激化である。国際通貨基金(IMF)は4月、19年の世界経済の成長率見通しを1月時点より0・2ポイント引き下げ、3・3%とした。

 貿易がさらに停滞すれば、中国経済が今年後半に持ち直すとのシナリオは危うくなる。欧州やアジアを含め世界経済が一段と減速する恐れが出てくる。

 イラン情勢の緊迫化で、原油価格高騰への懸念も拭えない。

 10月には消費税率引き上げが予定される。政府・日本銀行は、増税に耐えうる経済環境を整えるため、景気の変調に機動的に対応できる備えをしておくべきだ。

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577488 0 社説 2019/05/11 05:00:00 2019/05/11 05:00:00

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