訪日客の誘致 「観光立国」へ手を緩めるな

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 日本を訪れる外国人旅行者を増やして、経済活性化につなげる。「観光立国」の実現に向け、取り組みを強化したい。

 訪日外国人客は2018年に3000万人を超えた。5年間で3倍になった。20年に4000万人まで増やす政府目標の達成が射程に入ってきた。

 訪日客の消費額も過去最高である。人口減で国内市場が縮小する日本で、伸びが期待できる分野だ。円安効果もあったが、アジア諸国へのビザ発給要件の緩和など政府の施策の成果だろう。成長戦略の好事例として評価できる。

 きめ細かなおもてなしで、日本のファンになってもらう。それが日本への国際理解を深めよう。

 心配なのは、訪日客の増加に一服感がみられることだ。18年は8・7%増で、前年の19・3%増から鈍化した。今年1~3月も前年同期比5・7%増にとどまる。

 昨年の災害の影響が大きい。台風による関西空港の一時閉鎖や、北海道地震に伴う大停電などが響いた。訪日客が安心して滞在できる支援体制を整えるべきだ。

 災害時に一番困ったのは、通信や決済に使うスマートフォンが充電できなくなったことだという。充電場所の整備や多言語による災害情報の提供を広げてほしい。

 訪日客の国・地域別の内訳では中国、韓国、台湾などのアジア勢が全体の80%以上を占める。滞在期間が長く、消費も多い欧米客のさらなる誘致が大きな課題だ。

 欧米客は、スキーやサイクリングなど、明確な目的を持って訪れる人が多いという。その傾向を分析し、自然や文化、食、レジャー施設など埋もれた観光資源がないか、洗い直す必要がある。

 その上で宿泊予約や観光の下調べに役立つよう、インターネット上の情報発信を充実させたい。

 東京や京都、大阪などの有名観光地では、宿泊施設が不足しつつある。バスの混雑など地元住民の生活に支障が出る「観光公害」も指摘される。訪日客が少ない地方に分散化することが望ましい。

 ただ、地方には古くなった観光・宿泊施設も多い。観光の満足度を高める投資が欠かせない。文化財や国立公園などでは、歴史的な背景も含めて多言語で解説する丁寧なサービスが求められる。

 訪日客の誘致は、疲弊している地方経済にとって有力な活性化策だ。一層の工夫が要る。

 キャッシュレス決済への対応や入国手続きの時間短縮など、課題はまだまだある。官民で協力し、地道に解決を図るべきだ。

578555 0 社説 2019/05/12 05:00:00 2019/05/12 05:00:00

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