北方領土交渉 協力積み重ね打開の糸口探れ

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 日露の北方領土交渉は足踏みが続く。政府は、相互の利益に資する協力を積み重ね、打開の糸口を探らねばならない。

 河野外相とロシアのラブロフ外相がモスクワで会談し、3回目となる平和条約交渉に臨んだ。前回2月の会談では、次はラブロフ氏が訪日して交渉することで合意していたが、ロシア側の動きが鈍く、河野氏が訪露した。

 両外相は、北方4島での共同経済活動の実施に向け、議論を加速させる方針で一致した。ただ、河野氏は共同記者発表で、領土交渉について「双方の立場の隔たりを克服できなかった」と述べた。

 ラブロフ氏は会談で、第2次世界大戦の結果、北方領土が合法的にロシア領になったと日本が認めるよう、改めて要求した。

 北方4島が旧ソ連に不法に占拠された歴史的事実を歪曲わいきょくする主張は、到底受け入れられない。入り口論に固執するラブロフ氏の姿勢は、甚だ疑問である。

 そもそも平和条約の早期締結を呼びかけたのは、ロシア側だ。昨年11月の日露首脳会談では、歯舞群島、色丹島の引き渡しを明記した日ソ共同宣言を交渉の基礎とすることで合意している。

 プーチン氏は3月、「交渉の勢いは失われた」と発言したという。国内の領土返還への反対論を意識しているのだろうが、首脳間の合意をないがしろにする姿勢は看過できない。指導力を発揮し、世論の説得にあたるべきではないか。

 政府は、長期戦を視野に入れざるを得まい。経済協力を進めて信頼醸成を図りつつ、ロシアに粘り強く領土問題での譲歩を促していく。こうした領土交渉の原点に立ち返る必要がある。

 北方領土問題を解決し、平和条約を結べば、ロシアが望む極東地域への対露投資は拡大しよう。こうした認識を日露双方で共有していくことが欠かせない。

 北方4島での共同経済活動では、海産物の養殖や風力発電などの事業が想定される。両国の法的立場を害さない「特別な制度」の検討を急がなければならない。

 日露両政府は、北海道とロシア・サハリン州間での短期査証(ビザ)の相互免除を検討している。人的交流の拡大も大切である。

 外相会談では、今月末に外務・防衛閣僚会合(2プラス2)を東京で開催することで合意した。地域情勢を分析し、安全保障分野でも信頼関係を構築したい。

 北朝鮮の非核化の実現に向け、ロシアに建設的な役割を果たすよう求めていくことも重要だ。

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581350 0 社説 2019/05/14 05:00:00 2019/05/14 05:00:00

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