大麻摘発最多 若年層への広がりが心配だ

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 大麻の若者への広がりが深刻だ。安易な気持ちで手を出さないよう、取り締まりと啓発を強める必要がある。

 昨年1年間の大麻事件の摘発者数が、過去最多の3578人となった。摘発者の半数以上を29歳以下の若者が占め、大学生や中高生も少なくない。

 匿名でのやり取りが可能なSNSを通じて、違法な薬物が売買されている。中でも大麻は、覚醒剤など他の薬物に比べて安価なため、若者でも購入が容易だ。

 麻薬などの化学構造に似せて作られた危険ドラッグの取り締まりが強化され、薬物使用者が大麻に流れている面もあるのだろう。

 大麻は、アサ科の草から取れる薬物で、乾燥させたのがマリフアナだ。摂取すると、幻覚成分が脳神経に影響し、興奮状態に陥ったり、集中力が低下したりする。

 長期乱用は幻覚や妄想、記憶力の低下を引き起こし、依存症になる恐れがある。特に、青少年期の乱用はリスクが高い。液状やワックス状の大麻は、幻覚成分を濃縮させているのでさらに危険だ。

 大麻に手を染めると、より強い刺激を求めるようになりかねない。覚醒剤など他の薬物の乱用につながることから、「ゲートウェー・ドラッグ」とも呼ばれる。安易な使用は、取り返しのつかない事態を招くと自覚すべきだ。

 大麻が、暴力団などの反社会的勢力の資金源になっていることも忘れてはなるまい。

 看過できないのは、近年、インターネット上などで「大麻は安全だ」といった有害性を否定する情報が流布されていることだ。

 海外の一部の国では、痛みの緩和など医療目的の使用が認められている。カナダは昨年、嗜好しこう目的の大麻を合法化した。誤った情報が拡散する背景には、こうした事情もあるのではないか。

 警察庁が一昨年、大麻の所持で検挙した約500人を対象に行った調査によると、大麻の危険性を軽視している回答が6割を超えた。20歳代では7割を超える。由々しき事態と言える。

 「他人に迷惑をかけなければ、薬物使用は個人の自由だ」。関西の私立4大学が昨年、新入生約2万3000人に行った調査で、そんな回答をした人は7%いた。

 若年層への蔓延まんえんを防ぐためには、誤った認識を正し、自らを律する力をつける教育が大切だ。

 兵庫県警は昨年、県内の小中高校で、薬物の危険性を訴える講座を約260回開いた。こうした地道な啓発活動が求められる。

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583494 0 社説 2019/05/15 05:00:00 2019/05/15 10:29:15

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