認知症対策大綱 尊厳ある暮らしを支えたい

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 認知症になった人が尊厳を保ち、安心して暮らせる社会を作る。「人生100年時代」を迎える中、官民で取り組みを加速させねばならない。

 政府は、認知症対策の強化へ向けて、新たに策定する「大綱」の原案をまとめた。団塊の世代が75歳以上になる2025年までを対象期間とし、認知症の有病率を下げる数値目標を初めて掲げた。6月に正式決定する。

 認知症の人は、15年の約520万人から25年には約700万人に増えると推計される。65歳以上の2割にあたる。認知症の有病率は加齢とともに高まるため、高齢化に伴い、その後も増え続ける。

 政府は15年に認知症の総合戦略を策定し、医療・介護サービスの整備などを進めてきた。大綱ではこれらを踏まえて、発症や進行を抑える「予防」と、認知症の人が住み慣れた地域で暮らし続けられる「共生」に重点を置く。

 自立して生活できる期間を延ばす。認知症の人への理解と協力が根付いた地域社会を作る。高齢者にとって望ましい上、社会保障費の膨張抑制の効果も期待できる。着実に進めてもらいたい。

 原案は「予防」に関し、70歳代の認知症の人の割合を今後6年間で6%減らす目標を示した。70歳代前半の有病率は今の3・6%から3・4%に、後半は10・4%から9・8%に下がる計算だ。

 運動不足の改善や社会的孤立の解消が有効とみられるため、高齢者が気軽に参加できる体操教室や交流サロンといった「通いの場」の拡充を具体策として挙げた。

 留意したいのは、発症や進行を抑える手法はいまだ確立されていない点だ。科学的な調査研究を並行して進め、有効な予防法の開発と普及につなげる必要がある。

 予防を強調するあまり、認知症になった人が非難されるような風潮を招いてはならない。

 認知症の人の暮らしを支えるには、医療・介護だけでなく、交通手段の確保、金銭管理、消費者被害や虐待の防止など、多面的なアプローチが求められる。

 原案は、地域住民による見守り活動の支援や、認知症の人が買い物や移動をしやすい町づくりを掲げた。行政と地域の経済団体や専門職との緊密な連携が重要だ。

 早期診断の普及もあり、自らの体験や思いを語る当事者が増えている。施策には、本人や家族の声を十分反映させるべきだ。

 日本は最速で高齢化が進む。当事者本位の支援体制を確立し、世界にモデルを示したい。

無断転載禁止
591374 0 社説 2019/05/20 05:00:00 2019/05/20 05:00:00

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
The Japan News
発言小町
OTEKOMACHI
ささっとー
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ