高額医薬品 価格の妥当性を見極めたい

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 医療の進歩に伴い、効果が高い一方、極めて高額な治療薬の登場が相次ぐ。必要とする患者に恩恵を届けつつ、いかに医療費の膨張を抑制するかが重要な課題である。

 一部の白血病などの新しい治療薬「キムリア」が公的医療保険の適用対象になることが決まった。薬価は3349万円で、保険対象薬としては過去最高額だ。

 患者自身の血液から免疫細胞を取り出し、遺伝子操作でがん細胞への攻撃力を高めて体内に戻す。既存の治療法が効かない患者にも有効とされる。こうした新薬の開発は、歓迎すべきだろう。

 遺伝子組み換えなどを用いたバイオ医薬品は新薬の主流となっている。製造工程が複雑で開発費がかさみ、高額化を招いている。

 公的医療保険では、患者の自己負担額に上限が設けられているため、高額薬の代金の大半は保険で賄われる。キムリアの場合は、投与は1回で済み、当面の想定患者数も年間216人と少ないため、保険財政への影響は限定的だ。

 ただ、今後も超高額薬が増えていけば、医療保険財政を圧迫する懸念が拭えない。

 大切なのは、薬価が妥当な水準なのかどうか、検証できる体制を整えることだ。

 キムリアのように既存の類似薬がない新薬では、薬価の算定根拠が不明確と指摘されている。研究開発費や製造費、営業利益などを積み上げて計算するが、詳しい内訳は公表されない。製薬会社の「言い値」との批判もある。

 保険適用に国民の理解を得るためには、可能な限り価格決定過程の透明性を高めねばならない。

 使用実態などに応じて適切に薬価を見直すことも求められる。

 2014年に発売されたがん治療薬「オプジーボ」は当初、1人あたり年間3500万円になる薬価が設定され、問題視された。

 政府は、販売額が急増した場合に価格を機動的に引き下げるルールの導入などを進め、オプジーボの薬価は4分の1になった。

 薬の費用対効果を評価し、薬価改定時に反映させる制度も、4月から本格的に始まった。これらを有効に機能させたい。

 公的医療保険で超高額薬をカバーしつつ、制度の持続可能性を維持するためには、軽症用の薬をどこまで保険給付の対象とするかを考える必要がある。

 湿布やビタミン剤など市販品で代替が可能な薬は、保険適用から除外する案も浮上している。議論を深めていくべきだ。

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594001 0 社説 2019/05/21 05:00:00 2019/05/21 05:00:00

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