GDPプラス 内需の弱さに警戒が必要だ

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 経済成長率はプラスを維持したが、その中身は力強さを欠く。海外経済の変調が懸念され、景気の先行きには引き続き警戒が必要である。

 2019年1~3月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比0・5%増、年率換算では2・1%増となった。2四半期連続のプラス成長だ。成長率は前期の1・6%増から拡大した。

 景気減速を示す経済指標が相次ぐ中、予想外の高成長だったが、主因は内需の弱さを反映した輸入の大幅減少である。中国向けなどの輸出は減ったが、輸入がそれを上回るマイナスとなり、外需が差し引きでプラスに寄与した。

 今回の成長は、内需が引っ張る自律的回復とはいえまい。

 内需の内訳をみると、住宅投資が消費税率引き上げ前の駆け込み需要を背景に伸びた。公共投資も大きく増えた。昨年の地震や豪雨などの自然災害を受け、防災・減災対策の予算が上積みされた。

 一方、GDPの半分以上を占め、内需の柱である個人消費は、2四半期ぶりのマイナスだった。新車販売や冬物衣料が苦戦した。

 海外経済の減速により、企業の設備投資も先送りの動きが出て、減少に転じている。

 茂木経済再生相は、好調な雇用・所得環境や、高水準の企業業績を挙げて、「内需の増加傾向は崩れていない」との見方を示した。だが実際には、景気状況は慎重な見極めが必要な局面にある。

 内閣府は、3月の景気動向指数で、景気の基調判断を「悪化」とした。戦後最長とされた現在の景気回復が既に終わり、後退局面に入った可能性も指摘される。

 先行きも世界経済の動向が気がかりだ。米中の貿易摩擦が激しさを増し、中国経済が、景気対策で今年後半に持ち直すとの見通しは立てにくくなった。日本企業の輸出が打撃を受けて、設備投資や消費をさらに冷やす恐れがある。

 10月には消費増税を控えている。増え続ける社会保障費を賄い、財政再建を進める上で、消費税は重要な安定財源である。

 増税を円滑に乗り切るため、政府は中小店でのキャッシュレス決済へのポイント還元など、経済対策の準備に万全を期すべきだ。機動的な政策運営が求められる。

 民需が主導する経済の実現にも注力したい。賃上げの継続や先端産業の育成など、長期的な戦略が重要だ。政府は6月にもまとめる「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)などで、実効性ある具体策を示さねばならない。

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594008 0 社説 2019/05/21 05:00:00 2019/05/21 05:00:00

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