園児死傷事故 歩行者優先の意識徹底したい

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 交通事故が減少傾向にある中、落ち度のない歩行者が犠牲になるケースが後を絶たない。

 昨年の交通事故死者数は全国で3532人と、統計を開始した1948年以降では最少だった。長年にわたり、安全対策や車の性能向上が進められてきたことが背景にある。

 一方、大津市で散歩中に信号待ちをしていた保育園児ら16人が、車同士の衝突に巻き込まれて死傷した。東京・池袋や神戸市では、高齢ドライバーの車や市バスの暴走で、多数が被害に遭った。

 いずれも理不尽というほかない事故である。無防備な歩行者を守るためには、車がいつでも凶器に変わりうるという現実を、すべてのドライバーが改めて直視する必要があるだろう。

 安倍首相は関係省庁に対し、未就学児らの安全確保策を早急に取りまとめるよう指示した。まずは、危険箇所を把握し、適切な措置を講じることが欠かせない。

 京都府亀岡市で2012年、集団登校の列に車が突っ込み、児童ら10人が死傷した事故の後には、文部科学省が全国の通学路を緊急点検した。約7万4500の危険箇所が確認され、ガードレールや信号機の設置などが進んだ。

 従来の対策は、学校の通学路中心で、保護者の送迎がある保育園は対象から外れていた。今回の事故を受けて、大津市は保育園や幼稚園に散歩コースを提出させ、現場の点検に乗り出す。保育園周辺の安全対策を急ぐべきだ。

 警察などは、生活道路の制限速度を30キロ以下とする「ゾーン30」を各地で整備している。速度を抑えるため路面に凸部をつける「ハンプ」も設置されてきた。こうした取り組みを広げたい。

 「歩行者優先」という原則を再確認することも大切である。

 日本自動車連盟(JAF)が全国で信号機のない横断歩道を調べたところ、歩行者が渡ろうとしている際に一時停止した車は、わずか8・6%だったという。

 停止しないのは歩行者妨害として道路交通法に反する。歩行者を軽視する意識の表れと言える。

 日本は欧米に比べ、歩行者が交通事故で死亡する割合が高いというデータもある。交通事故の死者全体からみると、フランスやドイツ、アメリカが15%前後なのに対し、日本は35%にのぼる。

 2020年東京五輪・パラリンピックでは、歩行者優先が定着している諸外国から多くの人が訪れる。日本のドライバーも意識を変えていかねばなるまい。

無断転載禁止
601966 0 社説 2019/05/25 05:00:00 2019/05/25 05:00:00

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