川崎殺傷事件 凶行から子供をどう守るか

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 悲惨な事件に胸がつぶれる。子供を守る方策を探らねばならない。

 川崎市多摩区の住宅街で、スクールバスを待っていた小学生ら19人が刃物で刺された。保護者の男性と、6年生女児の計2人が亡くなった。1分足らずの凶行の後、容疑者の男(51)は現場で自殺した。

 男は児童の列の背後から、無言で刃物を振り回してきた。児童の多くは低学年で、敏捷びんしょうに逃げるのも難しかった。卑劣な手口に怒りを禁じ得ない。

 スクールバスの乗り場に並ぶ子供の列は、都市部では見慣れた風景だ。今回の事件を知って、背筋を凍らせた保護者や学校関係者は少なくないだろう。

 学校は容疑者に心当たりがなく、通り魔的な犯行とみられる。男が所持していた複数の刃物からは、強い殺意がうかがえる。

 予兆はなかったのか。なぜこの場所が狙われたのか。容疑者は死亡しているが、警察は動機や、凶行に至る経緯を出来る限り解明すべきだ。捜査結果を何らかの形で公表し、社会全体で教訓をくみ取れるようにしてほしい。

 現場にいた数十人の児童は、凄惨せいさんな光景を目の当たりにした。心の傷が心配だ。小学校では、系列の中高からカウンセラーの派遣を受けてケアに当たる。支援チームを送る神奈川県や川崎市は、全力で学校を支えてもらいたい。

 事件を受けて、安倍首相は関係閣僚に登下校の安全対策の徹底を指示した。ただ、犯罪者から子供を守り抜くのは容易ではない。

 学校の安全対策自体は、大阪教育大付属池田小学校で2001年に起きた児童殺傷事件以降、強化された。100%近い学校が学校安全計画を策定し、防犯カメラの設置が進んだ。侵入者への対応訓練も行われるようになった。

 通学路の安全は度々問題になっている。一昨年、千葉県松戸市で、登校中のベトナム国籍の小学女児が殺害された。昨年5月にも新潟市で下校中の女児が犠牲になり、文部科学省は改めて、学校に通学路の点検を求めていた。

 登下校の安全対策の基本は、子供を一人にしないことだ。集団登下校やスクールバスの活用は子供を守る手段だった。ところが今回は、バスを待つ集団が襲われた。想定外の事態と言うほかない。

 子供の集合場所には、教員に加えて警備員を配置するなど、地道な努力を重ねる必要がある。

 不審者の情報などを、学校と警察が共有し、犯罪の未然防止につなげることも求められる。

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610343 0 社説 2019/05/30 05:00:00 2019/05/30 05:00:00

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