ルノー・FCA 競争激化がもたらした再編劇

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 世界のクルマ業界では次世代技術の開発競争が激化している。それを象徴する再編劇である。

 欧米自動車大手のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が、仏ルノーに対等な形での経営統合を申し入れた。事実上の合併を想定している。

 実現すれば、日産自動車と三菱自動車を含めて年間販売台数が1500万台を超え、世界最大の自動車連合が誕生する。

 ルノーとFCAは自動運転技術や電動化で出遅れている。巨額の研究開発費を賄うため、規模拡大が必要だと判断したのだろう。

 FCAは部品の共通化などで年間50億ユーロ(約6100億円)の統合効果が見込めると試算する。世界的な合従連衡が再び加速するきっかけになるかもしれない。

 無論、経営基盤が大きくなっただけでは競争力は高まらない。

 両社は地元の欧州でさえ主力ブランドの販売が伸び悩む。成長が見込めるアジアでも独フォルクスワーゲンなどに遠く及ばない。魅力あるクルマ作りに加え、販売戦略の立て直しが重要になる。

 ルノー筆頭株主のフランス政府は合併新会社に出資を続ける。イタリア政府が対抗して、新会社の株式を取得する可能性がある。

 FCA株の3割弱を持つフィアット創業家の影響力が強まるとの見方が出ている。新会社の株主構成も焦点の一つになりそうだ。

 注目されるのは、ルノーが4割超を出資する日産への影響である。日産・三菱自・ルノーの3社連合の枠組みがどのようになるか、現時点では見通せない。

 ルノーが検討する日産との経営統合構想は、当面棚上げになるとみられる。しかし、新会社が誕生すれば経営規模で日産を上回り、ルノー側の発言力が高まる公算が大きい。いずれ統合圧力を強めてくるのではないか。

 日産は、2社の合併交渉にもできるだけ関与し、自らの意向を反映させていくことが望ましい。

 FCAと日産は主力の北米事業では競合相手になる。調整すべき課題も多いはずだ。

 日産がグループ内で存在感を示すためにも、収益力の回復を急がねばならない。日産は電気自動車(EV)の開発で先行している。技術面での強みを生かした、したたかな戦略が求められる。

 自動車関連産業の就業者数は国内で500万人を超える。日産は、その一翼を担う企業として、高水準の製造・開発技術や、生産拠点の維持に努めてもらいたい。

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612265 0 社説 2019/05/31 05:00:00 2019/05/31 05:00:00

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