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スパコン「富岳」 日本の競争力強化に生かそう

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 呼び名の通り、幅広い分野で活用される最高性能のスーパーコンピューターを目指したい。

 理化学研究所が、8月に運用を終える国産スパコン「京」の後継機の名称を「富岳」と決めた。富岳は、富士山の別名だ。高い頂と広いすそ野を誇る富士山を、次世代のスパコン像に重ねたという。

 文部科学省が1100億円を投じて導入する。神戸市の理研計算科学研究センターにある京と置き換える。富士通は、3月から部品の組み立てを始めた。運用開始は2021年頃の予定だ。

 スパコンは科学技術の計算処理を得意とする。桁外れの速度で、膨大なデータを効率良く処理できる。社会に不可欠な存在だ。

 天気予報の精度向上でも、スパコンの貢献は大きい。世界各地の気温や気圧、風速といった大量の情報を一括処理して、次の変化を予測できるようになった。

 京は、こうした応用を切り開いてきた。自動車の空気抵抗を高い精度でシミュレーション(模擬実験)できることも、世界で初めて実証した。新車開発の費用削減と期間短縮が可能になった。

 富岳は、最高で京の約120倍の処理速度を目標に掲げる。人工知能(AI)研究まで幅広い応用を狙う。次世代スパコンならではの成果が求められる。

 理研が挙げる研究テーマは、京よりはるかに高度な内容だ。

 地球温暖化が進んだ未来の世界を描き出す。宇宙で物質が誕生した仕組みを解明する。大災害時に最も効率的に住民を避難させる方法を人間の行動形態から探る。

 そのためには、多様な情報を緻密ちみつに分析するソフトウェアの開発が欠かせない。産官学が連携して、富岳の運用開始までに、多彩な用途のソフトをそろえたい。

 スパコン開発は、米中を中心に激しい国際競争が続いている。資源探査や兵器開発も絡んで、高度な計算技術や能力を保有しているかどうかが、安全保障やビジネスに大きく影響するからだ。

 米国は5月に、世界最高性能を目指す新型スパコン「フロンティア」の開発計画を公表した。富岳と同様、AI研究など幅広い用途での活用を想定している。中国との開発競争で一歩も引かない姿勢を示したものだろう。

 スパコンに求められる機能の高度化に伴い、開発に要する費用も巨額になっている。日本は、富岳の成果を官民で広く共有し、開発に必要な基盤や人材を維持・拡大していかねばならない。

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614293 0 社説 2019/06/01 05:00:00 2019/06/01 05:00:00

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