天安門事件30年 中国の弾圧強化を憂慮する

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 人権や言論の自由を巡る状況は、著しく後退した。強権的な監視国家へと変貌へんぼうしつつある中国の現状を深く憂慮する。

 中国の共産党政権が、民主化を求めた学生らを鎮圧し、多数の死傷者を出した天安門事件から、4日で30年となった。共産党は民主化運動を「反革命暴乱」と断じ、武力による弾圧を正当化した。

 党はその後、一党支配体制の強化による安定と経済成長を最優先し、民主化に背を向けてきた。事件に関する情報は隠滅され、事件自体を知らない若者も少なくない。真相が解明されぬまま、風化が進んでいるのは遺憾である。

 看過できないのは、習近平政権が反体制派や少数民族への締め付けを加速していることだ。

 人権派弁護士や活動家が大量に拘束され、不当な長期拘留が続く。事件の再評価を昨年求めた大学教授は停職処分となった。

 中国西部・新疆ウイグル自治区では、イスラム教を信仰する少数民族のウイグル族らが「治安維持」などの名目で、収容施設に拘束されている。米国務省は3月の報告書で、200万人以上が収容されている可能性を指摘した。

 中国では、ネット空間が政府の情報管理に利用され、強権統治を支えている。党や政府に批判的な言動が、人工知能(AI)や監視カメラで即時に把握され、封じ込められる。「国家の安全」を理由に正当化できる措置ではない。

 習氏は「一つのモデルで全ての国の問題を解決することはできない」と述べ、米欧が求める民主化を受け入れない意思を示す。

 中国が豊かになれば政治改革に踏み出す、という日本や欧米の見通しは甘かったと言わざるを得ない。ポンペオ米国務長官は「中国が国際システムに融合され、開かれた寛容な社会に変わるという期待は打ち砕かれた」と述べた。

 人権や自由などの基本的価値観すら共有できない中国が、「平和発展」を唱えても国際的な信頼は得られまい。通商や安全保障、ハイテク技術を巡る米中対立の根源には、異質な大国への不信があることを習政権は認識すべきだ。

 共産党は、国民の生活水準を向上させ、一党支配への不満を抑え込んできた。だが、これまでのような高度成長は望めない。貧富の格差が広がり、環境汚染などの社会問題も深刻化している。

 習政権は、強権的な手法をどこまで拡大し続けるのか。国際社会は問題点を粘り強く指摘し、改革を促さねばならない。

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620884 0 社説 2019/06/05 05:00:00 2019/06/05 05:00:00

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