水素エネルギー 「脱炭素」の切り札となるか

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 政府は、次世代エネルギーの水素を「脱炭素社会」への切り札と位置づけるが、本格普及への道は険しい。官民に一層の努力が求められる。

 水素は燃やしても二酸化炭素が発生せず、排出するのは水だけだ。天然ガスなど様々な資源から取り出せる。水の電気分解でも作れるので、枯渇しない。

 資源の乏しい日本にとって貴重なエネルギー源となり得る。

 水素に関する技術は、日本が世界で最高水準とされる。普及で先んじれば、水素活用に必要なインフラ(社会資本)の輸出にもつながろう。政策的支援が重要だ。

 政府は昨年のエネルギー基本計画で、水素を再生可能エネルギーと並ぶ選択肢と明記した。

 4月には、温暖化防止の国際的枠組みである「パリ協定」に基づく長期戦略をまとめ、水素の活用を柱の一つに据えた。今世紀後半の早い時期に温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという。

 ただ、現状では水素の本格利用へのハードルは高い。

 水素で走る燃料電池車(FCV)は、トヨタ自動車が2014年に世界初の一般向けモデルを発売した。しかし、FCVの国内普及台数は約3000台にとどまる。

 車両価格が高いほか、燃料を供給する水素ステーションは全国に約100か所しかない。不便なためにFCVの販売が伸びず、水素ステーションの整備も遅れる。そんな悪循環に陥っている。

 経済産業省は3月、水素と燃料電池の普及に向けた行程表を発表した。25年をめどにFCVを約20万台、水素ステーションを320か所に増やす目標を掲げた。

 FCVの価格低減や、セルフ型水素ステーションの設置を認める規制緩和を進めるというが、目標達成は容易ではあるまい。

 路線バスや配送トラックなどの商用車で活路を開きたい。車の拠点に水素ステーションを置くことで、効率的に運用できる。

 大規模発電に応用できれば、本格的な「水素社会」の実現に近づくが、水素の特性に合う燃焼器の開発など技術的な課題は残る。

 水素には爆発しやすいイメージもある。国民に安全性や利用の意義について理解を得る努力が要る。20年東京五輪・パラリンピックでは、選手村の電力の一部を燃料電池で賄う。国内外に水素の可能性を示す絶好の場となろう。

 福島県浪江町で再生エネを使う水素製造工場の建設が進む。「復興五輪」を契機に関連産業を育て、地域活性化にもつなげたい。

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620885 0 社説 2019/06/05 05:00:00 2019/06/05 05:00:00

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