暗号資産 もはや「通貨」とは呼べない

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 たとえ革新的な金融技術が使われているとしても、実態はマネーゲームの道具である。もはや通貨とは呼べない。

 「仮想通貨」の呼称を「暗号資産」に変更する改正資金決済法などが、国会で成立した。国際的な表記に合わせる。

 円やドルなどの通貨は国や中央銀行の後ろ盾がある。暗号資産は発行主体が明確ではなく、価値の裏付けがない。価格は乱高下し、決済にも使いづらい。通貨と区別するのは妥当な判断だ。

 主要国の金融当局で作るバーゼル銀行監督委員会が、暗号資産を「通貨としての標準的な機能を提供していない未成熟の資産」と指摘しているのも、うなずける。

 法改正では、サイバー攻撃を想定し、ネットから遮断した状態で預かり資産を管理するよう交換業者に義務づけた。少ない元手で多額の売買ができる外国為替証拠金取引(FX取引)と同様に、金融商品として規制の対象とする。

 暗号資産は危うい金融商品にもかかわらず、取引量は依然として多い。現状を踏まえれば、公正に取引できる環境の整備は当然と言えよう。投資家保護の観点からの対応が欠かせまい。

 これまでに交換業者から顧客資産が大量に流出する事件が相次いだ。日本では交換業者の登録制がいち早く導入されたが、その後、業者のずさんな管理態勢や甘い安全対策が明らかになった。再発防止の徹底が求められる。

 金融庁は、問題が見つかった交換業者の登録を取り消すなど厳しい姿勢で臨む必要がある。

 金融機関が暗号資産への投資で損失を被り、金融システムが揺らぐ。そうした事態が将来起こらぬよう監視を怠ってはならない。

 懸念されるのは、暗号資産がマネーロンダリング(資金洗浄)や違法薬物の売買に利用され、テロの資金源にもなっている点だ。

 暗号資産を使った詐欺的な資金調達は世界で起きている。

 今週末に福岡市で開かれる主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、暗号資産への規制のあり方が議論される。

 活発に取引されている以上、各国が協調して抜け穴をふさぐことが重要になる。日本は議長国として、実効性のある国際ルール作りを主導してもらいたい。

 代表的な暗号資産であるビットコインは昨年後半、ピーク時の2割程度まで価格が急落した。一方で、この2か月余りで2倍になった。投資家も価格変動リスクを十分認識しておくことが大切だ。

無断転載禁止
622976 0 社説 2019/06/06 05:00:00 2019/06/06 05:00:00

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