G20と経済成長 減速リスクに備えて再結束を

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 主要国は、結束を取り戻す道を粘り強く探らねばならない。

 福岡市で開かれた主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、激化する米中貿易摩擦などを念頭に、「貿易と地政学上の緊張は増大してきた」とする共同声明を採択した。

 声明は、世界経済について「リスクは依然として下方に傾いている」とした。その上で、景気減速に備えて「さらなる行動をとる用意がある」との決意を示した。

 G20がひとまず、危機感を共有した点は評価できる。

 足元の世界経済は堅調なのに、インドやオーストラリアの中銀は早々に利下げを決めた。欧州中央銀行(ECB)は利上げ時期を半年先送りした。先行きへの警戒を強めていることがうかがえる。

 先週、米国株が大幅上昇したのは、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げへの期待感など短期的な材料が主因だ。中長期的な見通しは、むしろ厳しい。

 国際通貨基金(IMF)の試算では、米中貿易摩擦が一段と先鋭化した場合、2020年の世界の国内総生産(GDP)を0・5%押し下げるという。英国の欧州連合(EU)離脱問題やイラン情勢の緊迫化もある。

 各国政府・中銀は経済動向を丹念に分析し、緊急時にはあらゆる政策手段を発動できるよう、準備しておくことが大切である。

 G20声明には、今回も「保護主義に対抗する」との文言は盛り込まれなかった。明確なメッセージを示せなかったのは残念だ。

 会議の中では、貿易摩擦を懸念する声が多くの国から上がった。米国は、批判に耳を傾け、自らの独善的な振る舞いが経済に与える悪影響を自覚する必要がある。

 G20は、国際的な経済不均衡の是正を巡っても協議した。

 経常収支は、国内外の政策や景気といった様々な要因に左右される。声明は「協力推進の精神に基づき、過度な対外不均衡に対処する」と明記した。自国の貿易赤字ばかりを問題視する米国を牽制けんせいする狙いがあるのだろう。

 中国側にも問題が多い。

 国有企業に補助金を出して過度に優遇する政策を改めないようでは、いくら自由貿易が重要だと訴えても説得力を欠く。

 08年のリーマン・ショック後、G20は一致して世界的な金融危機に対応した。当時より、各国の財政・金融両面での政策余地は小さい。対立を乗り越えなければ、新たな危機には立ち向かえない。

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630531 0 社説 2019/06/11 05:00:00 2019/06/11 05:00:00

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