骨太方針案 最低賃金上昇の環境整えたい

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 賃金の着実な底上げは経済再生に欠かせない。混乱なく最低賃金を上げていけるよう、環境整備に努めるべきだ。

 政府が「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案をまとめた。柱の一つが、最低賃金の引き上げだ。「より早期に全国平均が1000円になることを目指す」と明記した。

 安倍首相は2015年、最低賃金を毎年3%程度引き上げていく方針を表明した。ここ3年連続で約3%ずつ上がり、現在は874円だ。このペースでは1000円に届くのは23年度頃になる。

 それでも、フランスや英国などの主要先進国と比べれば、まだ低い。原案が、早期の目標達成を目指したことは理解できる。

 引き上げは、パートやアルバイトを含む労働者全体の所得を増やし、消費活性化の効果が期待される。将来不安の軽減や内需主導の経済を目指す上でも大切だ。

 課題となるのは、中小企業への配慮である。日本商工会議所は、急ピッチの引き上げに反対している。1000円に上がった場合、最低賃金で雇う従業員の人件費は、社会保険料を含めて年30万円近く増えるという。

 韓国では18年、所得増加と格差の是正を図るため、最低賃金を16%も上げた。すると、小売りや飲食、宿泊などのサービス業で雇用が悪化し、かえって経済に悪影響を与えたとされる。

 最低賃金の水準や引き上げペースは、中小企業への打撃と、経済全体へのメリットを精査しながら慎重に決める必要がある。

 同時に、中小企業への支援も忘れてはならない。バラマキではなく、技術力のアップや、IT(情報技術)化による生産性向上につながる施策が不可欠だ。

 余力のある企業は、安価な労働力頼みから脱してもらいたい。省力化や収益増加による経営基盤の強化が求められる。

 後継者不足に悩む中小企業は多い。原案は、親族以外の第三者に事業継承する際の支援拡充を盛り込んだ。妥当な措置である。

 このほか原案は、70歳までの就業機会確保など、全世代型社会保障への改革に重点を置いた。

 ただ、肝心の給付と負担の見直しについては、「総合的な検討を進める」と記すにとどめ、具体策を十分に示さなかった。財政再建への道筋も不明確だ。

 10月の消費税率引き上げを円滑に乗り切るとともに、国民負担の増加を伴う改革にも、しっかり取り組むことが重要である。

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632287 0 社説 2019/06/12 05:00:00 2019/06/12 05:00:00

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