香港大規模デモ 中国化への危機感が噴出した

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 中国の意に沿わない人物が、犯罪者に仕立てられ、中国本土に移送される。そんな事態が日常化することへの危機感の表れと言えよう。

 香港で、1997年の中国返還後、最大規模とされる抗議デモが行われた。香港から中国本土への容疑者の引き渡しを可能とする逃亡犯条例の改正案に反対し、撤回を求めている。

 改正案が審議されるのを前に、多くの人が議会周辺の道路を占拠した。警察との衝突で負傷者が出るなど、混乱が続く。

 参加者には、民主化運動に関心がなかった若者や、中国と取引する経済界の人々も含まれる。仕事や親戚付き合いなどで中国を訪れる人も多い。香港にいながら、中国の法律が事実上適用されかねない、との懸念が強いのだろう。

 香港は、約20か国と犯罪人引き渡しの取り決めを結んでいるが、中国本土、台湾、マカオは含まれていない。昨年、台湾で殺人を犯して逃げ帰った香港男性を移送できなかったことをきっかけに、香港政府が改正案を提案した。

 親中派がトップの香港政府は、今月中の採決を目指している。議会も親中派が多数を占めており、可決される可能性が高い。中国政府は改正を支持する。

 香港の人々が反対を強めるのは一党独裁体制の中国で、司法が政治から独立していないからだ。

 司法機関は共産党の指導下にある。法律が恣意しい的に運用され、言論弾圧などに利用される。人権問題を扱う弁護士らが大量に拘束され、勾留は長期に及んでいる。

 香港では、共産党批判の書籍を扱う書店経営者らが失踪し、中国に拘束される事件があった。香港の司法を踏みにじる行為だ。

 英国の植民地時代から続く独立した司法制度が、香港にはある。中国は返還にあたり、これを尊重し、「高度な自治」を認めると約束した。一つの国で社会主義と資本主義の制度を併存させる「一国二制度」に基づく。

 憲法にあたる香港基本法にも、「高度な自治」の中核として司法の独立が明記されている。香港政府は、「移送対象は殺人などに限定し、政治犯は含まない」と強調するが、運用にあたり、中国の不当な介入を阻止できるのか。

 改正は、香港に拠点を置く企業関係者にも影響が及び、経済に打撃を与える恐れがある。

 中国の習近平政権は、混乱や衝突が拡大すれば、国際社会の批判が強まり、自らの威信にも傷が付くことを認識すべきだ。

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634764 0 社説 2019/06/13 05:00:00 2019/06/13 05:00:00

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