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留学生のずさんな管理が目に余る。大学の体をなしていないと言わざるを得ない。
東京福祉大で、過去3年間に1600人もの留学生が所在不明になっていた。文部科学省は、一部の留学生の受け入れ停止を指導した。私学助成金の減額も検討する。
「不十分な在籍管理が、大量の所在不明者を招いた。大学の責任は重大だ」と、文科省が批判したのはもっともである。
東京福祉大は、最近6年間で留学生を約350人から約5000人に増やした。半分以上は、定員にカウントされない聴講生扱いの「学部研究生」だった。不明になったのも研究生が多かった。
文科省が施設の実地調査をしたところ、急増した留学生を収容するため、銭湯の入った雑居ビルや、マンションの部屋を教室に使っていた。教室の中にトイレがあり、授業中にも外部の人が使用するため出入りしていた。
学生集めを優先して、肝心の教育環境の整備をおろそかにしたと批判されても仕方がない。
見過ごせないのは、こうした実態の把握が遅れたことである。
文科省は、「性善説を採っていて、早期の対応を逸した」と釈明しているが、チェックの甘さは否めない。大学の教育体制を定期的に審査する第三者機関も、問題点を見つけられなかった。
一方で入国管理を所管する法務省は、東京福祉大の留学生の一部が不法残留者となっていることをつかんでいた。法務省と文科省が情報を共有していれば、もっと早い対処が出来たのではないか。
今回の問題を受けて、文科省と法務省は、留学生の在籍管理の厳格化に乗り出した。
大学や専門学校に、在籍状況の詳細な報告を求める。在籍管理が不適切で改善が見られない場合には、留学の在留資格を与えず、学校名も公表する。
背景には、留学生の中に、就労が主な目的の外国人がいることがある。週28時間以内の労働が認められる留学の在留資格が、隠れみのに使われやすい。制限を超える長時間の労働で学校に来なくなってしまうケースは少なくない。
こうした実態を承知の上で、学費収入を目当てに留学生を入学させる学校の存在も指摘される。
在籍管理の徹底を通じて、不法就労に歯止めをかけることが大切だ。大学や専門学校も、留学生を受け入れるのなら、カリキュラムを整え、責任を持って適切な教育を提供しなければならない。