パワハラ防止法 具体性のある指針づくりを

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 職場でのいじめや嫌がらせといったパワーハラスメントをなくし、だれもが安心して働ける環境作りを進めたい。

 企業にパワハラの防止策を義務づける関連法が国会で成立した。大企業には2020年4月から、中小企業は22年4月から適用される予定だ。

 関連法はパワハラを、「職務上の優位性を背景に、適正な範囲を超えて従業員に精神的、身体的苦痛を与える行為」と初めて定義した。相談窓口の設置やパワハラへの対処方針を就業規則で定めることを企業に義務づけた。

 悪質なケースでは、企業名を公表する。罰則はないものの、企業にパワハラ防止への対応を強く迫る内容と言えよう。

 パワハラ被害は深刻だ。17年度に全国の労働局などが受けた相談では、「いじめ・嫌がらせ」が7万件を超えて6年連続でトップだった。パワハラによる精神障害の労災認定も増加傾向にある。

 セクハラや妊娠・出産した女性へのマタニティー・ハラスメントについては、男女雇用機会均等法などで企業に防止措置が課されている。これまで企業の自主的な取り組みに委ねていたパワハラ対策を法制化した意義は大きい。

 パワハラは被害者の尊厳を傷つけ、働く意欲を失わせる。休職や退職、死に至ることもある。嫌がらせが許されているような職場では、生産性が低下し、人材の流出を招きかねない。

 適切な対応を取る必要性を企業は肝に銘じるべきである。

 難しいのは、パワハラと、業務上の指導との線引きだ。管理職と部下との間で、言い分が食い違うことは少なくない。状況や言い方でパワハラかどうかの評価が分かれる可能性もある。

 トラブルを避けようと、部下への注意をためらう管理職が増え、「人材育成に支障が出る」との懸念を示す企業も多い。

 休暇中に出勤を命じ、拒んだ従業員に辞職を強いる。無理なノルマを課し、達成できないことを人前で叱責しっせきする。パワハラを巡る裁判では、こうした言動が問題行為と認定されている。

 厚生労働省は、どんな行為がパワハラになるかについて、指針を策定する。現場が理解しやすいような具体例を示してほしい。

 大企業に比べて中小企業は、労務管理のノウハウに乏しく、相談窓口の設置などの取り組みも遅れがちだ。中小企業を対象としたセミナーの実施や専門家の派遣といった支援が欠かせない。

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641584 0 社説 2019/06/17 05:00:00 2019/06/17 05:00:00

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