陸上イージス 緩み排し信頼回復に努めよ

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 安全保障政策上の重要な施設を整備するという自覚が足りないのではないか。防衛省は不手際を猛省し、信頼回復に努めなければならない。

 弾道ミサイル防衛のため、新設する地上配備型迎撃システム「イージスアショア」を巡り、候補地の調査結果に誤りがあった。

 秋田市の陸上自衛隊新屋演習場の代替地として、19か所を調べた。近くの山がミサイルを探知するレーダーの障壁になることなどを理由に、すべての代替地を「不適」としたが、一部では、照射に支障がないことが判明した。

 職員がインターネットの地図サービスを利用し、地形の断面図を作成した際、縮尺を間違えたのが原因だという。緊張感を欠く失態である。新屋演習場への配備ありきで、調査を軽視したと受けとめられても仕方あるまい。

 秋田市での住民説明会で職員が居眠りをしたのも、不誠実だ。組織の緩みは甚だしい。

 岩屋防衛相は秋田県庁を訪れ、一連の問題について「あってはならないことだ」と述べ、陳謝した。現地で測量調査を実施し、結果を再提示する考えを示した。

 佐竹敬久県知事が「防衛省の作業はマイナスからのスタートだ」と批判し、岩屋氏に対応の改善を求めたのは当然だろう。

 防衛省は、ミサイル発射施設などを整備するため、演習場に近い県有地を取得し、拡張する方針だ。風力発電施設の移設も必要となる。県側の協力は欠かせない。

 イージスアショアは、秋田、山口両県に1か所ずつ配備し、日本全土をカバーする構想だ。

 北朝鮮の核・ミサイルの脅威は変わっていない。中国やロシアも多様なミサイルを開発していることを踏まえれば、日本海側に多数のミサイルの同時攻撃に対処できる態勢を整える意義は大きい。

 弾道ミサイルの警戒にあたる海上自衛隊のイージス艦の弾力的な運用も可能になろう。

 政府は、配備の意味と狙いを適切に説明し、理解を広げていくことが求められる。

 配備先では、有事の際に攻撃対象にならないかとの不安や、レーダーが発する電波による健康被害を懸念する声がある。防衛省は健康への影響を否定する。

 2025年度の運用開始を想定しているが、スケジュールは遅れる可能性が高い。防衛省は態勢を立て直すため、防衛副大臣を長とする整備推進本部を設置する。地元の意向に配慮しつつ、丁寧に計画を進める姿勢が大切だ。

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643473 0 社説 2019/06/18 05:00:00 2019/06/18 05:00:00

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