習近平訪朝 「非核化」仲介の道筋が見えぬ

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 冷え込んでいた中朝関係の正常化を確認し、北朝鮮の核問題で中国が主導的な役割を果たす決意を米国に見せつける。それだけでは、非核化の進展にはつながるまい。

 中国の習近平国家主席が北朝鮮を公式訪問し、金正恩朝鮮労働党委員長と会談した。2013年の就任後、初の訪朝である。

 就任当初、中朝関係は悪化していた。金委員長が中国の自制の求めに応じずに核実験などを続けたためだ。習氏は14年に、中国指導者として初めて、北朝鮮よりも先に韓国を訪問した。

 北朝鮮も、中国に不満を抱き、「中国が米国主導の北朝鮮制裁に同調している」と訴えていた。

 関係修復への転機となったのは、トランプ米政権が北朝鮮への圧力を強め、中国にも貿易摩擦を巡り攻勢をかけたことだろう。米国の強硬な政策を牽制けんせいするうえで、中朝は結束を迫られた。

 昨年以降、金委員長は中国を4度も訪問した。国交樹立70年の節目に実現した習氏の訪朝は、中朝が近年の不正常な状態に終止符を打ったことを意味する。

 習氏は朝鮮労働党機関紙・労働新聞に寄稿し、「国際情勢がどう変わろうと、中朝友好協力関係を強化、発展させる確固たる立場は変わらない」と強調した。

 問題は、それが北朝鮮の非核化にどんな影響を及ぼすかだ。

 2月の米朝首脳会談が決裂した後も、米国は「完全な非核化」を求める立場を変えていない。北朝鮮が全ての核兵器や核関連施設を申告し、廃棄に応じるまで制裁は維持する方針だ。

 金委員長は習氏に、米国への不満を暗に訴えた。北朝鮮が努力しても「関係国の積極的な反応を得られなかった」と主張した。北朝鮮の段階的な非核化の措置に対し、米国が見返りを与えるよう仲介を求めたのではないか。

 北朝鮮は経済停滞が続き、制裁解除を切望している。金委員長は4月にロシアを訪問し、プーチン大統領と会談した。後ろ盾である中露との関係を強化し、米国に譲歩を迫る戦略だ。

 習氏は、金委員長の主張に理解を示した。朝鮮半島の非核化に向けて「中国が積極的な役割を果たす」と述べ、「北朝鮮の安全や発展を巡る合理的な懸念」の解決に協力するとも表明した。

 習氏は今月末に、大阪でトランプ米大統領と会談する。北朝鮮の立場を代弁していては、中国が非核化に本気で取り組んでいるとは受け取られまい。

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651367 0 社説 2019/06/22 05:00:00 2019/06/22 05:00:00

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